企画展「瑞穂のキツネ」~東京にキツネ!?瑞穂町に住むキツネと10年以上追い続けた者が魅せるキツネの姿~
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企画展「瑞穂のキツネ」~東京にキツネ!?瑞穂町に住むキツネと10年以上追い続けた者が魅せるキツネの姿~


東京にキツネ!?

北海道や東北といった寒い地域に住む印象が強いキツネですが実はいるんですよ!日本の首都「東京」にも!

7月18日(土)さっそく東京にもキツネがいるという噂を聞きつけ、とある資料館へやって来ました。

場所は東京都西多摩郡瑞穂町にある『瑞穂町郷土資料館けやき館』。

こちらの資料館では瑞穂町の歴史的な文化財や地域の自然環境についてといった貴重な資料を基本無料で閲覧することができます。

他にも地域の文化や自然にまつわる企画展といったイベントも定期的に開催し、地域の方々に愛されている施設となっています。

そんなけやき館ではこの日、企画展を開催していました。

その名も 『瑞穂のキツネ』 です!

「地域のケモノ展」とかではなく、キツネが主役となっているところがキツネ好きにとってポイントが高いところです。

この企画展は瑞穂町で10年以上にわたりホンドギツネを観察・撮影し続けてきた村山俊彰さんが企画されたもので、ただの写真展ではありませんでした。

キツネの生態はもちろん、人との関わりや環境問題、そして地域文化まで学べる非常に充実した展示となっています。

館入口にはニホンオオカミ像がありました

そびえ立つ巨大な御旗

資料館へ入って最初に目に飛び込んできたのは2本の巨大な御旗でした。

その大きさは圧巻で2階の天井までそびえ立っており、資料館に入った瞬間から強い存在感を放っていました。

これは瑞穂町へ合併する前の元狭山地区の旧家で実際に使用されていた奉納旗だそうです。

巨大な御旗の前にはけやき館が所蔵している「大街道細渕家旧稲荷祠」というプチ稲荷神社が建っていました。

その周囲には瑞穂町の稲荷神社の歴史を紹介する写真や解説パネルが並んでおり、地域に根付く稲荷信仰について知ることができます。

他にも、お祭りで実際に使用された太鼓や稲荷社勧請許状なども展示されており、野生動物のキツネだけではなく、人々の信仰や文化とも深く結び付いていることを感じられる内容となっていました。

奥に広がるホンドギツネの世界

資料館の奥へ進むと、これまでの展示内容から一変して野生動物としてのキツネの世界が広がります。

数多くの写真が並び、その入口には企画者である村山さんからのメッセージが掲げられていました。

村山さんが瑞穂町ではじめてホンドギツネと出会ったのは2015年5月6日、ほとんど姿を見ることができないホンドギツネとの出会いが村山さんの心を大きく動かしたようです。

キツネが住む環境をそっとしておきたい気持ちを持ちつつも、村山さんが10年間観察し学んできたことを発信することで私達がキツネや自然環境と向き合い、東京に住むキツネを絶滅に追い込まないよう共に生きる世界を模索するきっかけとなってほしいという思いから開催を決意したそうです。

一瞬の出逢いからここまで情熱を注ぎ、企画展を開催するという偉業を成し遂げた村山さん凄いです!

展示室に入る前から期待が高まってきました。

写真だけではない、学びに満ちた展示

展示室には写真だけでなく、標本、書籍、グッズなどさまざまな展示物が並んでいました。

村山さん自身が撮影されたホンドギツネの写真はどれも貴重なものばかりで、普段はなかなか見ることのできない野生の姿が数多く紹介されています。

写真とともに生息環境や行動、生態について詳しく解説されており、とても勉強になりました。

特に印象に残ったのはキツネが暮らす場所だけでなく、一つの巣穴をタヌキなど他の動物たちも利用しているという展示です。

巣穴はキツネ専用という先入観がありましたが、自然界では複数の動物が同じ場所を利用することも珍しくないことを知り、新たな発見となりました。

美しい剥製が伝える現実

展示室の奥に進むとホンドギツネやタヌキといった動物の剥製が展示されていました。

展示されていたホンドギツネたちの剥製は、とても美しく今にも動き出しそうでした。

しかし、その背景は決して明るい話だけではないようでした。

この個体はロードキル(交通事故)によって命を落としたキツネだといいます。

人間の生活圏が広がる一方で、野生動物との接触も増えています。

道路は人間にとって便利な存在ですが、動物たちにとっては命を脅かす危険な場所でもあります。

美しく可愛らしい剥製を見るだけではなく、その裏にある現実を知ることで人と自然が共存する難しさについて改めて考えさせられました。

キツネだけではない?みんな集まれ!

展示はキツネが中心ですが、瑞穂町周辺に生息するさまざまな野生動物も紹介されていました。

キツネの撮影によって撮れた貴重な野生動物や野鳥の写真から瑞穂町の自然の豊かさというのも感じることができます。

そのため、キツネだけを紹介する展示だけではなく、周辺の生態系も知ることもできる内容になっていました。

撮影の裏側

展示室中央には、実際に撮影で使用されたテントやギリースーツが展示されていました。

野生のキツネは非常に警戒心が強く、人の姿を見つけるとすぐに逃げてしまいます。そのため、撮影者は自然に溶け込むための工夫を重ねながら観察をしているそうです。

かなり本格的な装備で驚きましたが、実は土地の制約や注意などを受けてあまり使われなかったとかなんとか……

展示されている巨大な一眼レフで撮影をするそうですが、野生のキツネは僅かな光の変化に敏感なようで、キツネがこちら側を向いている間はレンズの反射をさせないようにカメラを下ろしているそうです。

また、シャッター音にも敏感で1回のシャッターで警戒モードに入ってしまうことも多く、撮影された写真は基本的に1枚撮りなんだそう。

他にも、センサーカメラで撮影された映像も上映されており、畑の隅で生活するキツネたちが動き回る姿を映像で見ることができました。

写真では伝わらない動きや仕草を見ることができ、尺の長い動画ですが時間を忘れて見入ってしまいました。

キツネを学ぶための本やグッズの展示

展示室には村山さんがキツネについて学ぶために読まれた専門書が並んでいました。

さらに、昔話や童話、絵本など、キツネが登場する作品も数多く紹介されていました。

絵本に関連して瑞穂町図書館では7月31日までキツネの絵本特集ということで、キツネの絵本が展示コーナーに集結しているそうですので、こちらもぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?

私自身も知っている作品がいくつかありましたが、「こんな作品もあったのか」と新しい発見もありました。

その他にもキツネのTシャツや帽子、パズルなどのキツネグッズも展示されていました。

そして驚いたのはなんと、これらの書籍やグッズはすべて村山さんご本人の私物とのこと。

キツネの写真撮影だけに留まらず、これだけのコレクションを見られるだけでもキツネ好きにはたまらない空間です。

企画者・村山さんとの出会い

今回の企画展で最も印象に残った出来事は、企画者である村山さんご本人とお話しできたことです。

名札をつけて展示室を歩いていた村山さんにお声掛けいただき、キツネ好きであることをお伝えするとそこから話が大いに盛り上がりました。

撮影の裏側のお話や書籍やグッズが村山さんの私物であることなどについて直接お話できたことで知ることができました。

特にキツネグッズコーナーに展示されている人形は奥さんに買ってきていただいたものであること、パズルはお子さんが組み上げてくれたこと、キツネのつるし飾りは「瑞穂のつるし飾り」を制作している岩田敏江さんにお願いしたところ快く引き受けてくださったことなど、展示からは得られない裏情報をお伺いできてとても嬉しかったです。

また、ロードキルの展示について実際に調査に使用した資料を直接見せていただいたことや、瑞穂町には4基のキツネマークの「動物注意」標識があるのですが、その標識は村山さんの活動によって設置されたとのことで人と自然との環境問題にも真剣に向き合われている姿に胸を打たれました。

たまたま他のお客様もいらっしゃらなかったこともあり、30分以上村山さんとお話していました。

展示を見るだけでは決して知ることのできない貴重なお話ばかりで非常に有意義な時間となりました。

村山さんお話いただき、ありがとうございました。

瑞穂町に古くから伝わる紙芝居

当日は11時50分から紙芝居も開催されており、読み手である北爪副館長と安富学芸員はキツネのかわいい姿に扮して登場しました。

披露作品は瑞穂町に古くから伝わるお話「お伊勢山の古狐」と馬場のぼるさんの「きつねとごんろく」の2本です。

「お伊勢山の古狐」は瑞穂中学校の美術部の生徒さんが書いたものだそうです。

子どもたちはもちろん、大人も楽しめる内容で、会場は和やかな雰囲気に包まれていました。

展示を見るだけでは終わらない、参加型の企画が用意されていたのも本企画展の魅力だと思います。

「お伊勢山の古狐」についてはYouTubeにもアップされているので、ぜひ見てみてください。

常設展示も見逃せない

企画展の後には常設展示も見学しました。

常設展示では、「瑞穂の自然と歴史」というテーマで瑞穂町の自然や歴史について資料などを通して学ぶことができるスペースとなっています。

村山さんによると、常設展示にある雑木林は狭山丘陵の自然を再現したものとのこと。

本物さながらのオブジェクトや音響、光などで自然の再現しており、科学博物館並みのクオリティの高さに驚きました。

その雑木林にも美しいキツネ剥製が展示されており、企画展とあわせて見ることで、より地域の自然について理解を深めることができました。

イベントも盛りだくさん!

企画展は2026年7月18日(土)~9月27日(日)まで開催されています。

また、企画展の開催期間中には、さまざまな関連イベントも予定されています。

本日披露いただいた紙芝居もその一つですが、講演会やギャラリートーク、映画鑑賞会など展示を見るだけでは得られない学びの機会が数多く用意されており、一度訪れた方でもイベントに合わせて再訪すれば新たな発見があるかと思います。

イベント日程は下記となります。

・「キタキツネ物語」映画上映
7/25(土)13:00~15:00
※要予約

・ギャラリートーク
8/8(土)14:00~15:00

・「瑞穂のキツネ」講演会
8/23(日)13:30~15:00
※要予約

・紙芝居
9/19(土)11:50~12:00?

 

その他にも企画展アンケートに回答すると村山さん撮影のオリジナルキツネポストカードが先着で貰えます!

まとめ

「瑞穂のキツネ」は単なる写真展ではなく、野生のホンドギツネの生態、地域の歴史や稲荷信仰、人と自然の共存、ロードキルなどの環境問題、そして10年以上キツネを追い続けた一人の観察者の情熱まで多くのことが詰まった企画展でした。

そして何より企画者である村山さんご本人から直接お話を伺えたことは、この日一番の思い出でした。展示一つひとつに込められた想いや苦労を知ることで、企画展の見え方も大きく変わりました。

東京都で「キツネ」を主役に据えた企画展は非常に珍しく、キツネ好きの方はもちろん、野生動物や自然環境、地域文化に興味がある方にもぜひ訪れていただきたい内容です。

企画展の開催は2026年9月27日(日)までとなっております。

この貴重な機会にぜひ瑞穂町郷土資料館けやき館を訪れ、東京に暮らすホンドギツネたちの世界に触れてみてはいかがでしょうか。

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瑞穂町郷土資料館けやき館

住所:東京都西多摩郡瑞穂町大字駒形富士山316番地5

休館日:7/21(火)、8/17(月)、9/24(木)