いとしいあのきつねをめとりたい 愛しいあの狐を娶りたい
ヘンリエッタによるBL漫画である。 狐族の世界を舞台に、災いをもたらす存在として忌み嫌われる黒狐と、一族を率いる白狐の長との恋を描いた和風ファンタジー作品である。2024年に電子配信が開始され、全6話で完結し、その後描き下ろしを加えた単行本版も発売された。
あらすじ
狐族で唯一の黒狐・賛(さん)は、「災いを招く存在」として一族から忌み嫌われていた。
ある日、人間に姿を見られたことを理由に、村から追放されることになってしまう。
絶望する賛の前に現れたのは、狐族の長であり、誰からも敬われる白狐・鼎(かなえ)だった。
鼎は一族の前で突然、「賛を嫁として迎える」と宣言する。
突然の申し出に戸惑う賛だったが、鼎のまっすぐな愛情に少しずつ心を開いていく。二匹のすれ違いと絆を描いた恋愛物語である。
狐との関わり
本作の登場人物は、人間ではなく狐族である。
白狐・黒狐という毛色の違いが物語の重要な設定となっており、「白は吉兆」「黒は災厄」といった周囲の偏見がテーマの一つになっている。
狐への変身や獣耳・尻尾などの描写も取り入れられ、和風の妖狐世界が描かれている。
主な登場人物
賛(さん)
本作の主人公。
狐族で唯一の黒狐として生まれ、一族から疎まれながら育つ。
孤独な日々を送ってきたため、自分が愛される価値のない存在だと思い込んでいる。
鼎(かなえ)
狐族を束ねる白狐の長。
威厳ある立場にありながら、賛の優しさや人柄を理解し、公然と嫁に迎えることを宣言する。
不器用ながらも一途に賛を想い続ける人物として描かれる。
作品の魅力
本作の魅力は、「嫌われ者」と「一族の長」という対照的な二人の関係性である。
物語は派手な戦闘よりも、
- 偏見との戦い
- 心のすれ違い
- 少しずつ育まれる信頼
- 深まっていく恋愛
を丁寧に描いている。
また、和装や狐耳・尻尾などのビジュアルも作品の魅力となっている。
キツネ好きにおすすめのポイント
狐をモチーフにしたBL作品は少なく、本作は狐族の文化や階級を中心に物語が構成されている点が特徴である。
白狐と黒狐という対比も日本文化に見られる狐の神秘的なイメージを取り入れており、妖狐作品が好きな人にも楽しめる内容となっている。
単行本版
電子連載版は全6話で完結しており、2024年には描き下ろしエピソードを追加した単行本版が発売された。単行本では後日談も収録され、二人のその後を楽しめる。
キツネ文化との関わり
日本では白狐は神聖な存在として扱われることが多い一方、黒狐には地域や創作によってさまざまなイメージが与えられている。
本作ではその対比を「差別」や「偏見」の象徴として描き、色によって評価されることの理不尽さを物語のテーマに取り入れている。
白狐と黒狐
白狐は稲荷神の使いとして知られ、神聖・幸運・浄化の象徴とされることが多い。
一方、黒狐は民間伝承で必ずしも悪い存在とされるわけではないが、創作では「忌み子」や「異端」として描かれることがある。
本作では、その伝統的なイメージを物語の背景設定として巧みに活用している。