ちこはいいろぎつね チコハイイロギツネ
チコハイイロギツネは、チリやアルゼンチンを中心に分布する、灰色の毛並みと大きな耳を持つ南米の小型イヌ科動物である。
概要
南米の草原や低木地に暮らすキツネの仲間。英語では「South American gray fox」、現地では「チラ(Chilla)」などと呼ばれる。
名前に「ハイイロギツネ」とあるが、北米などに暮らすハイイロギツネやシマハイイロギツネとは別の仲間である。チコハイイロギツネは、クルペオギツネやセチュラギツネと同じ Lycalopex 属に分類される。出典:IUCNイヌ科専門家グループ
基本情報
項目 | 内容 |
|---|---|
和名 | チコハイイロギツネ |
英名 | South American gray fox、Chilla |
学名 | Lycalopex grisea/Lycalopex griseus |
分類 | 哺乳綱・食肉目・イヌ科・Lycalopex 属 |
主な分布 | チリ、アルゼンチン。ペルーにも分布記録がある |
頭胴長 | 約45~67cm |
尾長 | 約20~43cm |
体重 | 約2.5~5.5kg |
食性 | 雑食性 |
保全状況 | LC(低懸念) |
学名は資料によって表記が異なる。Mammal Diversity Databaseでは Lycalopex grisea を採用しているが、保全資料や既存の研究では Lycalopex griseus が広く使われている。古い文献には Pseudalopex griseus や Dusicyon griseus という名前でも登場する。分類・学名:Mammal Diversity Database/体格:GISD
外見
背中や体の側面は、淡い毛と黒っぽい毛が混じった霜降り状の灰色をしている。頭部には赤褐色が入り、腹側は淡い灰色。脚は黄褐色で、あごには目立つ黒い斑がある。
耳は大きく、鼻先は細くとがっている。ふさふさとした長い尾には、上面に黒っぽい筋が入り、先端も黒い。全身が均一な灰色というわけではなく、顔や脚の暖色と、背中の灰色との組み合わせが特徴である。出典:GISD
分布と生息環境
主な分布域は、アンデス山脈の両側に広がるチリとアルゼンチンである。南部のパタゴニアにも広く生息し、ペルーの海岸地域からも記録されている。
草原、ステップ、低木地、森林の縁などを利用し、とくに開けた低木地で見られる。平地や低い山地を中心とするが、標高3,500~4,000mでの記録もある。乾燥した地域から南部の冷涼な地域まで、幅広い環境に暮らすキツネである。出典:IUCNイヌ科専門家グループ
暮らしと食べ物
主に夕暮れから夜にかけて活動するが、昼間に姿を見せることもある。岩の間や木の根元、低木の下、ほかの動物が掘った穴などを隠れ場所として利用する。
食性は雑食性で、ネズミ類、ウサギ類、鳥、爬虫類、昆虫などの小動物に加え、果実や動物の死骸も食べる。その場所や季節に手に入る食べ物を利用する、柔軟な食生活を送っている。出典:GISD
繁殖と子育て
パタゴニアでは、つがいが一年を通じてなわばりを維持することが報告されている。交尾期は南半球の冬から春に当たる8~9月ごろで、妊娠期間は約53~60日。一度に2~6頭ほどの子を産む。
子どもは生後4~6週間ほどで、母親とともに巣の外へ出るようになる。子育てには雄も関わり、繁殖に参加していない別の雌が補助する例も知られている。性成熟はおよそ1歳である。
単独で行動する印象が強い動物だが、繁殖期には家族の協力が見られる。出典:Animal Diversity Web
人間との関わり
フエゴ島への導入
フエゴ島のチコハイイロギツネは、もともと島にいた個体群ではない。1951年、増えたアナウサギを抑える目的で、南米大陸側から人為的に導入された。
そのため、分布図にフエゴ島が含まれていても、大陸の自然分布とは区別して理解する必要がある。出典:IUCNイヌ科専門家グループ
毛皮利用と保全
かつては毛皮を目的とした捕獲が盛んに行われた。また、家畜や家禽を襲う動物と見なされ、駆除の対象となる地域もある。