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きつねがりのうた/なかじまみゆき キツネ狩りの歌/中島みゆき

日本のシンガーソングライター・中島みゆきによる楽曲である。1980年4月5日に発売された7thアルバム『生きていてもいいですか』に収録されており、全8曲中3曲目に配置されている。 作詞・作曲はいずれも中島みゆきが担当している。タイトルの通り「キツネ狩り」を題材としており、狩る側の人間が意気揚々とキツネを追う一方で、その狩りには不穏な気配が漂う。単純な狩猟の歌というよりも、「狩る者」と「狩られる者」の関係が逆転しかねない、寓話的で皮肉を含んだ物語として描かれている。

基本情報

タイトル:キツネ狩りの歌
アーティスト:中島みゆき
作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき
収録アルバム:生きていてもいいですか
発売日:1980年4月5日
収録順:3曲目
国:日本

アルバム『生きていてもいいですか』には、以下の楽曲が収録されている。

  1. うらみ・ます
  2. 泣きたい夜に
  3. キツネ狩りの歌
  4. 蕎麦屋
  5. 船を出すのなら九月
  6. ~インストゥルメンタル
  7. エレーン
  8. 異国

楽曲について

「キツネ狩りの歌」は、キツネを仕留めようと狩りへ向かう人物へ語りかける形で進んでいく。

天候にも恵まれ、狩りをするには申し分のない状況が整っている。狩人は自分の腕前を頼りにキツネを仕留めようとするが、語り手はその人物へ、狩りへ行くのであれば気を付けるよう繰り返し警告する。

楽曲にはキツネを仕留めた場合の成功や名誉を思わせる描写がある一方で、「無事に帰れるのか」という不安が常につきまとう。

そのため、単なる狩猟の成功を祝う内容ではない。

むしろ、狩る側が絶対的に優位だと思い込んでいる状況そのものに疑問を投げかけるような構成となっており、狩人とキツネの間に緊張感が生まれている。

キツネとの関係

本作では、キツネが狩猟対象として明確に登場する。

歌詞の中で人間はキツネを探し、弓を使って射止めようとする。キツネは直接言葉を発するキャラクターとして描かれるわけではないが、楽曲全体の物語を成立させる中心的な存在である。

興味深いのは、キツネが単なる弱い獲物としては扱われていないことである。

狩人は武器を持ち、自信を持って狩りへ向かう。しかし語り手は繰り返し警戒を促し、キツネを狩ること自体が危険な行為であるかのように語る。

そのため、本作におけるキツネには、捕まえようとする人間を逆に翻弄するような、不気味で得体の知れない存在感がある。

狩る者と狩られる者

「キツネ狩りの歌」で特徴的なのが、「誰が本当に狩る側なのか」が曖昧になっていく点である。

表面的には、人間が狩人であり、キツネが獲物である。

しかし、狩人へ向けられる警告が繰り返されることで、聴き手は次第に「キツネを追う人間の方が危険なのではないか」と感じるようになる。

これは、狐が人間を化かす存在として語られてきた日本の狐文化とも相性のよい構図である。

人間は自分が狐を追い詰めているつもりでも、実際には狐の術中にはまっているのかもしれない。

ただし、中島みゆき本人がこの楽曲を日本の狐伝承や「狐に化かされる」物語として制作したと明示した資料は確認できない。そのため、伝承との関係は楽曲から連想できる要素として捉えるのが適切である。

キツネ狩り

キツネ狩りは、特にヨーロッパで長い歴史を持つ狩猟文化として知られている。

猟犬などを使ってキツネを追跡する狩猟は、イギリスなどでスポーツや社交文化の一部として発達してきた。

一方、「キツネ狩りの歌」では弓でキツネを射止める描写があるため、特定のイギリス式狐狩りをそのまま描写した作品とは言い切れない。歌詞そのものは、より寓話的な「人間がキツネを狩る」という構図として読むことができる。

したがって、本作では実際の狐狩り文化の再現よりも、「狩人とキツネ」という関係そのものが物語の中心になっていると考えられる。

不気味なキツネ

本作では、キツネの姿や性格について詳しく説明されない。

しかし、そのことがかえってキツネを不気味な存在にしている。

狩人がどれほど準備を整えても、無事に戻れる保証はない。キツネは姿を見せないまま、狩人にとって危険な何かとして楽曲の背後に存在し続ける。

日本の狐伝承でも、狐は姿を見せずに人間を惑わせたり、相手を知らないうちに異常な状況へ導いたりすることがある。

本作のキツネにも、そうした「姿の見えない怖さ」を感じることができる。

寓話としての「キツネ狩りの歌」

「キツネ狩りの歌」は、歌詞をそのまま読めば狩猟を描いた楽曲である。

一方で、狩る側の人間への警告が繰り返されることから、狩猟以外の意味を読み取ることもできる。

自分が相手より強いと信じて攻撃を仕掛けた人間が、予想外の反撃を受ける。

あるいは、欲望や自信によって危険な場所へ踏み込み、自分自身が取り返しのつかない状況に陥る。

そのような人間社会のさまざまな関係を、「狩人」と「キツネ」に置き換えた寓話として読むことのできる作品である。

ただし、特定の社会問題や人物を暗示した曲であると中島みゆき本人が明言した資料は確認できないため、具体的な対象を決めつけることは避けた方がよい。

アルバム『生きていてもいいですか』

『生きていてもいいですか』は、1980年4月5日に発売された中島みゆきのアルバムである。公式ディスコグラフィーではキャニオン・レコードから発売された作品として掲載されている。

「うらみ・ます」「エレーン」「異国」など、孤独や人間関係の痛みを感じさせる楽曲が収録されており、「キツネ狩りの歌」はその中の3曲目に位置する。

不穏な物語を描きながらも、キツネ狩りという寓話的な題材を使っている点で、アルバムの中でも独特な存在感を持つ作品である。

カバー

「キツネ狩りの歌」は、後年に大竹しのぶと斉藤和義によってもカバーされている。

大竹しのぶ×斉藤和義版でも、作詞・作曲は中島みゆき、編曲は佐藤準とクレジットされている。

そのため、中島みゆきのオリジナル曲としてだけでなく、後世のアーティストによって歌い継がれている作品でもある。

中島みゆきについて

中島みゆきは、日本を代表するシンガーソングライターの一人である。

人間関係、孤独、愛情、社会、人生など幅広いテーマを扱い、物語性や寓意を感じさせる作品も数多く制作してきた。

「キツネ狩りの歌」では、狩人とキツネという非常に単純な構図を用いながら、その背後に「本当に強いのは誰なのか」「追う側が逆に危険へ踏み込んでいるのではないか」という不安を生み出している。

キツネをかわいらしい動物としてではなく、人間が安易に捕らえることのできない、不気味で予測不能な存在として描いた狐関連楽曲である。

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