おうじのきつねのかくしざけ 王子の狐の隠し酒

東京都北区王子にある山松屋酒店が企画・販売するオリジナル日本酒である。 年末年始に販売される季節限定の新酒・しぼりたて生酒として展開されており、王子の狐文化を前面に押し出した商品となっている。山松屋酒店自身も「当店オリジナル日本酒」として販売している。 過去の商品資料では、醸造元として山形県寒河江市の古澤酒造株式会社が確認でき、日本酒度±0、酸度1.3という仕様の商品も存在した。

販売元:山松屋酒店
所在地:東京都北区王子
種類:日本酒
特徴:季節限定新酒・しぼりたて生酒
過去に確認できる醸造元:古澤酒造株式会社(山形県寒河江市)

なお、年ごとに新酒として仕込まれているため、酒質や細かなスペックは製造年によって変化する可能性がある。

狐との関わり

「王子の狐の隠し酒」は、商品名だけでなく、東京都北区王子に残る狐文化そのものと深く結び付いた日本酒である。

王子には王子稲荷神社があり、かつて大晦日の夜になると関東各地から狐たちが集まり、王子稲荷へ参詣したという伝承が残されている。

この伝承を現在に伝えているのが「王子狐の行列」である。

山松屋酒店では、もともとこの大晦日の狐の行列に合わせて「王子の狐の隠し酒」を販売することを考えて商品を制作したと紹介されている。2023年の販売時には、狐の行列で販売する予定だったものの、それ以前から予想以上の人気となり、年末を待たず残りわずかとなったことも報じられている。

つまり本商品は、

・王子という土地
・王子稲荷の狐伝承
・王子狐の行列
・狐を描いたラベル
・「王子の狐」という商品名

が一つにつながった、地域密着型の狐酒である。

王子稲荷と狐

王子稲荷神社は、関東における稲荷信仰と深く関係してきた神社である。

伝承では、大晦日の夜になると関東八州から狐たちが王子へ集まり、榎の木の下で装束を整えてから王子稲荷へ参詣したとされる。

狐たちが集まった場所は「装束榎」と呼ばれ、この狐伝承は江戸時代から広く知られていた。

こうした王子の狐文化は現在も地域に受け継がれており、大晦日から元日にかけて行われる「王子狐の行列」というイベントへつながっている。

「王子の狐の隠し酒」は、この王子ならではの狐文化を酒という形で表現した商品といえる。山松屋酒店のSNSでも「狐の行列」「王子の狐」といった言葉とともに継続的に紹介されている。

王子狐の行列

王子狐の行列は、大晦日の夜に狐の装束や狐面を身に付けた人々が王子の街を歩くイベントである。

江戸時代から伝わる「大晦日に狐たちが王子稲荷へ集まる」という伝承を再現する形で行われており、現在では王子を代表する年末年始の風物詩となっている。

山松屋酒店の「王子の狐の隠し酒」も、この狐の行列と同じ年末年始の時期に合わせた季節限定商品となっている。

2023年には山松屋酒店の店主が「大晦日の狐の行列で売ろうと思って作った」と説明しており、商品の誕生・販売と狐の行列が直接結び付いていることが確認できる。

ラベルの狐

王子の狐の隠し酒には、狐を描いたオリジナルラベルが使用されている。

2023年の商品についても、地域メディアが「かわいい狐の絵が描いてある」と紹介しており、狐が商品の視覚的な主役となっている。

また、山松屋酒店ではその後もラベルを改良しており、2024年の商品では「完全手作り&完全手作業にて意匠を大幅に修正」したことを公式SNSで発信している。

さらに2025年にも新たな「王子の狐の隠し酒」の準備が進められており、ラベルを刷り上げ、蔵元が新酒を醸造していることが山松屋酒店から発信されている。

毎年の新酒とともにラベルも変化していく点は、この商品の楽しみの一つである。

味わい

王子の狐の隠し酒は、年末年始に合わせた新酒・しぼりたて生酒として販売されている。

観光情報では「やや高めの度数ながらも芳醇で飲みやすい」と紹介されている。

過去の商品資料では、

日本酒度:±0
酸度:1.3

という仕様も確認されている。

ただし、季節ごとに新酒として仕込まれる商品であり、現在も継続的に新たな酒が醸造されているため、アルコール度数や日本酒度、酸度などは年によって異なる可能性がある。

「ふぉくすなっ♪」では固定スペックとして扱うのではなく、「過去に確認できた仕様」として記録するのが適切である。

山松屋酒店

「王子の狐の隠し酒」を企画・販売している山松屋酒店は、東京都北区王子1丁目にある地域密着型の酒店である。

王子駅から徒歩圏内に位置し、日本各地の日本酒をはじめ、さまざまな酒を取り扱っている。

店舗のオリジナル商品として王子の狐の隠し酒を販売しており、年末年始の人気商品となっている。

2024年末の商品も販売開始後すぐに人気となり、山松屋酒店は12月末に完売したことを公式SNSで発表している。

地元に残る狐文化を、地域の酒屋が独自の日本酒として商品化しているという点も、この酒の大きな特徴である。

落語『王子の狐』

「王子の狐」という言葉は、落語の演目としても知られている。

物語では、男が王子で狐が女性へ化けるところを目撃する。

普段は狐に化かされる人間が多いのだから、逆に狐を化かしてやろうと考えた男は、女性に化けた狐を料理屋へ誘い、酒や料理を振る舞う。

狐が酔って眠ったところで男は逃げてしまうが、その後、稲荷の使いである狐を騙したことで罰が当たるのではないかと心配し、詫びに向かうという物語である。

過去の「王子の狐の隠し酒」を紹介する日本酒ラベル資料でも、王子稲荷の狐伝承とともに、この落語『王子の狐』が紹介されている。

「王子」という土地には、稲荷信仰、狐の行列、落語など、複数の狐文化が重なっているのである。

季節限定の「隠し酒」

王子の狐の隠し酒は、通年販売の商品ではなく、年末年始を中心とした季節限定酒である。

山松屋酒店では「行く年に感謝 来る年に祈り」という言葉とともに、新酒・しぼりたて生酒として紹介している。

これは大晦日に狐たちが王子へ集まり、新しい年を迎えるという王子狐の行列とも非常に相性のよい商品コンセプトである。

毎年登場する一方で数量には限りがあり、2024年末の商品は販売開始後に完売している。

そのため、「隠し酒」という名前の通り、いつでも購入できる酒ではないことも特徴となっている。

豆知識

「王子の狐の隠し酒」は少なくとも2019年には山松屋酒店のオリジナル季節限定新酒として販売されていたことが、同店の過去のSNS投稿から確認できる。

その後も2021年、2023年、2024年、2025年と販売や仕込みに関する情報が確認できるため、一度限りの記念商品ではなく、王子の年末を彩る季節商品として継続されてきたことが分かる。

また、本商品は単に「狐という名前を付けた日本酒」ではない。

王子稲荷へ参詣する狐の伝承、その伝承を現在へ受け継ぐ王子狐の行列、狐文化が残る王子の街、そして地元の山松屋酒店というすべての要素がつながっている。

「土地に残る狐伝承から生まれた地酒」という意味で、「ふぉくすなっ♪」で扱う日本の狐酒の中でも特に地域文化との結び付きが強い商品である。

関連項目

  • 山松屋酒店
  • 王子稲荷神社
  • 王子狐の行列
  • 王子の狐
  • 装束榎
  • 稲荷信仰
  • 古澤酒造
  • 東京都北区王子
  • 日本酒

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