ふぉっくす おん ざ らん/まんふれっど まん Fox on the Run/Manfred Mann

「Fox on the Run」は、イギリスのバンド・Manfred Mannが1968年に発表した楽曲である。 作詞・作曲はイギリスのシンガーソングライター、Tony Hazzard。Hazzard本人の公式サイトでも、1966年から1969年にかけてManfred Mannへ提供したヒット曲として「Fox On The Run」と「Ha Ha Said The Clown」が挙げられている。 Manfred Mann版はFontanaからシングルとして発売され、B面には「Too Many People」を収録した。Official Chartsではカタログ番号TF985として記録され、全英シングルチャート最高5位を記録している。 Apple Musicではシングル『Fox on the Run / Too Many People』の日付を1968年11月29日としている。一方、英国盤データベース45catではTF985の発売日を1968年11月22日としており、資料によって発売日の記録に1週間の差がある。したがって、本記事では「1968年11月発売」とするのが安全である。 タイトルには動物の「fox=狐」が使われており、歌詞にも実際に狐の比喩が登場する。ただし、狐そのものを主人公とする動物の歌ではない。 失恋によって傷ついた男性の語り手が、自分自身を「追われて逃げる狐」のような存在にたとえる作品である。

基本情報

曲名:Fox on the Run

アーティスト:Manfred Mann

歌唱:Mike d'Abo

作詞・作曲:Tony Hazzard

プロデュース:資料によってクレジット表記に差異あり

シングル発売:1968年11月

B面:Too Many People

レーベル:Fontana

英国盤品番:TF985

楽曲時間:約2分42秒

ジャンル:ポップ、ロック

国:イギリス

Apple Musicでは楽曲時間を2分42秒として掲載しており、作詞・作曲者としてTony Hazzardをクレジットしている。

当時のManfred MannはMike d'Aboがリード・ボーカルを務めていた時期であり、Mike d'Abo自身の公式サイトに掲載されたManfred Mannのディスコグラフィーにも、1968年11月の作品として「Fox On The Run / Too Many People」が記録されている。

楽曲について

「Fox on the Run」は、一人の女性との関係によって深く傷ついた男性の心情を描く楽曲である。

歌詞の語り手は、自分の過去に存在した女性について振り返る。

その女性は川へ向かう麦畑の中を歩き、朝日の中で髪を輝かせる美しい人物として描かれる。一方、語り手から愛を受け取った後、そのもとを去ってしまった女性でもある。

語り手は自身が女性に誘惑されたことを語り、その結果として傷つき、身を隠す場所を必要とする状態へ追い込まれている。

ここで登場するのが「fox」の比喩である。

男性は、女性に去られ傷ついた自分自身を、逃げ回る狐、あるいは追われて疲れ果てた狐の姿に重ねている。

したがってタイトルの「Fox on the Run」は、物語に登場する狐キャラクターの名前ではない。

失恋した男性の置かれた状況を狐の姿によって表現したタイトルである。

タイトル「Fox on the Run」の意味

“fox”は英語で「狐」、“on the run”は「逃げ回っている」「逃走中である」「追われている」といった意味を持つ表現である。

そのため「Fox on the Run」を文字どおり訳せば、

「逃げ回る狐」
「追われる狐」

といった意味になる。

本曲では、この言葉が歌詞の内容と直接結び付いている。

語り手は恋愛によって傷ついた自身を、追われて逃げ続ける狐の姿にたとえている。また、自分を疲れた狐に重ね、隠れ場所を必要としていることも歌われる。

そのため、単にタイトルへ「Fox」という響きの良い単語を採用した作品ではない。

狐のイメージが歌詞の中心的な比喩の一つとして実際に機能している。

歌詞における狐

本曲の狐は、実在する一頭の狐として物語に登場するわけではない。

登場人物は基本的に人間であり、「fox」は男性主人公の心理状態を説明するための比喩である。

重要なのは、比喩の対象が何であるかという点である。

この曲では女性が狐に例えられているのではなく、傷ついて身を隠したがっている男性側が狐に例えられている。

歌詞では女性によって愛を奪われた男性の状態が、逃げる狐に重ねられている。さらに男性は、自分を疲れた狐のような存在として捉えている。

したがって、本曲の「fox」を「魅惑的な女性」「女狐」と解釈するのは歌詞内容に合わない。

「追われる狐」というモチーフ

本曲の狐表現からは、狩猟によって追われる狐の姿を連想することができる。

イギリスでは狐狩りが長い歴史を持つため、“fox on the run”という言葉から、猟犬や狩人から逃げる狐の姿を思い浮かべることも可能である。

歌詞でも狐は、狡猾な動物、女性を誘惑する妖しい存在、人間を化かす動物としては扱われていない。

むしろ、

追われる
逃げる
疲れている
隠れる場所を必要としている

という弱い立場の狐のイメージが使用されている。

これは日本の創作物で頻繁に見られる「人を化かす狐」「妖艶な妖狐」とは異なる狐像である。

ただし、Tony Hazzard本人がこの表現をイギリスの伝統的な狐狩りから直接着想したと明言する一次資料は今回確認できなかった。

そのため、「狐狩りそのものを題材とした曲」と断定するのではなく、「追われて逃げる狐を思わせる比喩」と捉えるのが適切である。

キツネとの関係

「Fox on the Run」における狐との関係は、「人間の状態を狐にたとえた比喩」に分類できる。

歌詞に実在する狐が登場して物語を展開するわけではない。

また、

・妖狐
・九尾の狐
・狐神
・白狐
・狐面
・狐火
・稲荷信仰

など、日本や東アジアの狐文化とも関係しない。

本曲で狐に例えられるのは、恋愛によって傷ついた男性である。

男性は愛した女性に去られ、その精神状態を「追われて逃げる狐」に重ねている。

したがって、狐との関係を整理すると、

「失恋した男性を、追われて逃げる狐にたとえた楽曲」

となる。

狐の「狡猾」「人を騙す」「誘惑する」といったイメージを象徴として使用しているわけではない点も重要である。

むしろ本曲では、狐は追われ、疲れ、隠れ場所を探す側の存在である。

作曲者Tony Hazzardについて

Tony Hazzardは、1960年代のイギリスを中心に活躍したシンガーソングライターである。

本人の公式サイトによれば、大学卒業後に音楽業界へ入り、1966年から1969年までの約3年間にイギリスやヨーロッパでトップ20入りした楽曲を6曲提供した。

Manfred Mannには「Fox On The Run」のほか、「Ha Ha Said The Clown」を提供している。

そのほかにもThe Hollies、The Tremeloes、Lulu、Herman's Hermitsなど、多数のアーティストがHazzardの楽曲を録音した。

Hazzardは1969年に自身のアルバム『Tony Hazzard Sings Tony Hazzard』を発表しており、自らも歌手・演奏家として活動した。

ブルーグラスとの関係

「Fox on the Run」は、Manfred Mannによるイギリスのポップ/ロック作品として誕生した後、アメリカのブルーグラス界でも広く演奏される楽曲となった。

Tony Hazzard本人の公式サイトによれば、本曲は後に大西洋を渡ってブルーグラスのスタンダードとなり、Bill Monroe、The Country Gentlemen、George Jones、Ricky Skaggs、Flatt & Scruggs、Doc Watsonなど多くのミュージシャンによって取り上げられた。Hazzardは1977年、本曲によってBMIのCitation of Achievementを受けたとしている。

ブルーグラス関連資料でも、1970年代初頭には「Fox on the Run」が非常に人気の高いブルーグラス曲となっていたことが紹介されている。

そのため本曲は、1960年代の英国ポップ/ロックから始まり、後にブルーグラスやカントリーへ広がっていった作品でもある。

ただし、音楽ジャンルが変化しても、歌詞における狐の基本的な役割は「傷ついた男性自身を表す比喩」である。

Manfred Mann版について

Manfred Mann版は、本曲を広く知らしめた最初期の録音である。

Tony Hazzard本人も「Fox On The Run」をManfred Mannへの提供曲として記録している。

シングルはFontanaから発売され、英国Official Singles Chartでは1968年12月24日に初登場。その後順位を上げ、1969年2月4日付で最高5位を記録した。チャートには12週間登場している。

当時のManfred Mannは1960年代後半のMike d'Abo在籍期にあたり、「Fox on the Run」はグループ解散前の後期を代表するヒット曲の一つとなった。

同名曲との混同について

「Fox on the Run」という題名は、このManfred Mannの楽曲だけに使用されているものではない。

そのため、タイトルだけで楽曲を特定すると別作品と混同する可能性がある。

Manfred Mann版について確認する際には、

作詞・作曲:Tony Hazzard
発表:1968年
レーベル:Fontana
歌詞:失恋した男性を逃げる狐にたとえる

という特徴で判別できる。

本曲はTony Hazzardが作詞・作曲した独立した作品であり、同じタイトルを持つ別のロック楽曲とは作詞・作曲者も歌詞内容も異なる。

狐関連楽曲としての位置付け

「Fox on the Run」は、狐そのものを主人公とした動物の歌ではないが、狐の姿を歌詞上の明確な比喩として使用している作品である。

分類としては、

「人間を狐に例えた楽曲」
「追われて逃げる狐を人間の心理状態に重ねた楽曲」

とするのが最も適切である。

特に本曲の狐像は、「人を化かす」「ずる賢い」「妖艶」といった狐の典型的な象徴とは異なる。

描かれるのは、追われ、疲れ、身を隠す場所を求める狐である。

その姿が、恋愛によって傷つき逃げ場を失った男性の心情と重ねられている。

作者Tony Hazzardがなぜ「fox」という動物を選んだのか、その詳細な創作意図を説明した資料までは確認できない。そのため狐狩りなど特定の文化的背景を直接の題材として断定することはできないが、少なくとも歌詞そのものに狐の比喩が明確に組み込まれている。

したがって「ふぉくすなっ♪」では、単なる「タイトルに狐がある楽曲」より一段強い狐関連性を持つ作品として、「狐を人間の境遇・心情の比喩として用いた楽曲」に位置付けるのが適切である。

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