きつねがぼくをまっている 狐が僕を待っている
記憶を失った少年と狐の少女との再会から始まるビジュアルノベル・アドベンチャーゲームである。 原作は韓国のゲームブランドTalesshop、日本向けNintendo Switch版はCOSEN(賈船)が開発・製作・発売を担当した。Nintendo Switch版は2020年4月16日に発売され、後にPlayStation 4でも展開されている。 タイトルに「狐」を冠しているだけでなく、ヒロインのシュアが狐の少女であり、主人公と狐をめぐる過去や運命そのものが物語の中心となっている。そのため、狐との関係が非常に深いゲーム作品である。
基本情報
タイトル:狐が僕を待っている The Fox Awaits Me
ジャンル:アドベンチャー/ビジュアルノベル
発売日:2020年4月16日(Nintendo Switch)
対応機種:Nintendo Switch、PlayStation 4
原作:Talesshop
開発:COSEN・GAMKIN
シナリオ:Working Dog
キャラクターデザイン:シノバ
製作・発売元:COSEN
レーティング:CERO C
Nintendo Switch版では日本語、英語、韓国語、中国語繁体字・簡体字のテキストに対応し、日本語と韓国語の音声が収録されている。
ゲーム概要
本作は、文章を読み進めながら選択肢を選び、物語を進行させるビジュアルノベルである。
主人公は記憶を失った少年・戒斗。目を覚ました彼は、自分がなぜ竹藪にいるのか、自分が何者なのかさえ思い出すことができない。
竹の枝に掛かっていた不思議な鈴を首に掛け、竹藪を歩き始めた戒斗の前に、一人の少女が現れる。
それが狐の少女「シュア」である。
シュアは戒斗のことを知っており、彼を「旦那様」と呼びながら再会を喜ぶ。しかし、戒斗には彼女についての記憶がない。
シュアとの出会いをきっかけとして、失われていた戒斗の記憶が少しずつつながり始める。
戒斗はシュアとともに自分の記憶をたどることになり、その過程で山神ミミルや死神カリンと出会う。そして、戒斗と狐をめぐる過去と運命が次第に明らかになっていく。
物語はコメディ調の会話だけで進む作品ではなく、公式には「ハイテンションコメディと衝撃のサスペンスの波状攻撃」と紹介されている。明るい日常的な場面と、登場人物たちの過去や運命に関係した重い展開の両方を持つ作品である。
また、選択肢によって物語が変化し、複数のエンディングが用意されている。キャラクター表示にはLive2Dも使用されている。
狐との関係
『狐が僕を待っている』における狐は、単なるキャラクターモチーフではない。
主人公が最初に出会うヒロインが狐の少女シュアであり、
「なぜシュアは戒斗を知っているのか」
「なぜ戒斗はシュアを覚えていないのか」
「戒斗とシュアの間には何があったのか」
という謎が物語を進める重要な要素となっている。
公式のあらすじでも「狐と少年の悲しい運命」が再び動き出す物語として紹介されており、狐という存在を抜きにして本作の物語は成立しない。
そのため、「狐耳のヒロインが登場するゲーム」というだけではなく、「狐の少女と人間の少年との関係を中心として構成された作品」として扱うのが適切である。
シュア
CV:宮崎珠子
本作を代表する狐キャラクターであり、メインヒロイン。
狐の耳を持つ少女で、竹藪で記憶を失っている戒斗の前に姿を現す。
戒斗のことを以前から知っており、再会した際には涙を流して喜び、彼を「旦那様」と呼ぶ。
一方の戒斗は記憶を失っているため、シュアが何者なのか、自分とどのような関係だったのかを思い出すことができない。
シュアとの再会は、戒斗が失われた記憶を取り戻していく物語の出発点となる。
外見
人間の少女に近い姿をしているが、頭部に大きな狐耳を持つ。
いわゆる「狐そのものを擬人化したキャラクター」というより、人型を基本としながら狐の特徴を持つ狐少女としてデザインされている。
作中でも単に狐耳のアクセサリーを身に着けている人間という扱いではなく、「狐」として設定された存在である。
そのため、「ふぉくすなっ♪」における分類では、
狐少女
狐耳
人型の狐キャラクター
などに該当する。
戒斗との関係
シュアを理解するうえで最も重要なのが主人公・戒斗との関係である。
シュアは戒斗を強く慕っており、物語開始時点ですでに二人には過去の関係が存在している。
しかし戒斗が記憶を失っているため、プレイヤー自身も戒斗と同じ立場からシュアとの過去を探ることになる。
つまり本作では、
「主人公が狐少女と初めて出会って恋愛関係になっていく」
という単純な構成ではない。
すでに何らかの過去を共有している狐の少女と少年が再会し、その失われた関係をたどっていく物語となっている。
この点が、本作における狐との関係を特に強くしている。
戒斗
本作の主人公。
竹藪の中で目を覚ました少年で、自分が何者であるのかを含めて記憶を失っている。
そこでシュアと出会い、自分を知っているという彼女とともに記憶をたどることになる。
戒斗自身は狐ではないが、「狐であるシュアとの関係」が物語の中心となるため、狐を理解するうえで欠かすことのできない人物である。
ミミル
CV:中村カンナ
森の池に暮らしている山神。
戒斗やシュアに対して何かと世話を焼く人物として登場する。
狐ではないものの、シュアや戒斗と深く関わりながら物語を進める主要人物である。
「狐が僕を待っている」という作品を狐の観点から紹介する場合、ミミル自身の細かな設定をすべて説明する必要はないが、シュアと戒斗の物語に深く関係する人物として記載する価値がある。
カリン
CV:景山梨彩
死神の少女。
新人の死神であり、戒斗を誤って殺そうとしてしまったことから彼らと関係を持つ。
ミミルと同様に狐ではないが、戒斗とシュアの物語へ深く関わる主要人物の一人である。
狐を題材とした特徴
本作の狐要素は、シュアの外見だけに留まらない。
竹藪、不思議な鈴、狐の少女、人ならざる存在である山神や死神など、現実とは異なる伝奇的・幻想的な世界観の中で物語が描かれる。
一方、日本の作品でよく見られる、
稲荷神の使い
九尾の狐
狐火
狐憑き
といった日本固有の妖狐伝承を直接題材とした作品とは性格が異なる。
原作が韓国のTalesshopによる作品であることもあり、日本的な稲荷信仰の狐をそのまま描いたゲームではない。
それでも、人間とは異なる「狐」という存在と人間の少年との関係がストーリーの根幹に置かれている点で、狐を扱った創作ゲームとして非常に分かりやすい作品である。
狐好きから見た本作
狐を目的にゲームを探している場合、本作は狐要素の非常に強い作品である。
最大の理由は、シュアが単なるサブキャラクターではなく、タイトル、物語、主人公の過去のすべてに深く結びついたメインヒロインであることである。
ゲームを始めて比較的早い段階からシュアが登場し、その後も戒斗と行動をともにするため、「ゲームを購入したものの狐キャラクターが少ししか登場しなかった」というタイプの作品ではない。
また、狐を戦闘キャラクターとして操作するゲームではなく、
狐少女との会話
狐少女との生活
主人公との過去
狐と人間との関係
などを物語として楽しむタイプの作品である。
『TUNIC』や『Spirit of the North』のような「動物としての狐を操作するゲーム」とは大きく異なり、「狐のキャラクターを中心とした物語を読みたい人」に向いた作品と言える。
シリーズ
『狐が僕を待っている』には続編が存在する。
狐が僕を待っている花 The Fox Awaits Me HANA
発売日:2023年11月2日
対応機種:Nintendo Switch
ジャンル:アドベンチャー
『狐が僕を待っている』の続編。
森の奥深くにある狐屋敷で暮らすシュアと戒斗を中心として、ミミルやカリンたちとの新しい物語が描かれる。
前作に引き続き、
シュア:宮崎珠子
ミミル:中村カンナ
カリン:景山梨彩
が出演するほか、新たにリュファ、レンファなどのキャラクターが登場する。
物語ではシュアの力を試すために派遣されたリュファとの出会いをきっかけに、戒斗たちが死神や狐一族それぞれの思惑へ巻き込まれていく。
前作以上に「狐一族」という存在が物語へ関わるため、狐という観点から見ても重要な続編である。
シュア
前作から引き続き登場する狐少女。
森の奥深くにある狐屋敷で暮らしており、戒斗との関係も続編の中心となっている。
リュファ
CV:南雲希美
続編から登場する人物。
シュアの力を試すために派遣された存在として物語に関わり、狐一族をめぐるストーリーにも関係していく。
レンファ
CV:野村香菜子
『狐が僕を待っている花』から登場する主要キャラクターの一人。
シュアやリュファなどとともに、続編における狐一族をめぐる物語に関わる。
シリーズと狐
『狐が僕を待っている』シリーズは、一貫して狐少女シュアと主人公・戒斗の関係を中心としている。
第1作では、
「なぜ狐の少女シュアは戒斗を待っていたのか」
という主人公の失われた記憶と過去が大きなテーマとなる。
続編『狐が僕を待っている花』では、シュアと戒斗の関係を引き継ぎながら、狐一族など、より広い狐の世界へ物語が広がっていく。
そのため、狐キャラクターが一人登場するだけのシリーズではなく、
第1作:狐少女と少年の関係
↓
続編:狐少女と少年+狐一族
という形で、シリーズを通して狐に関する設定が深められていく作品である。
「狐が物語の主役級として登場するゲーム」という分類では、特に狐との関係性が強いシリーズの一つと言える。