ぷらちなきつね プラチナキツネ
淡い銀灰色の毛並みに白い模様が広がる、アカギツネの毛色変異の一つ。
概要
プラチナキツネは、アカギツネに見られる毛色のバリエーションである。明るい銀灰色の被毛と、体の広い範囲に現れる白斑を特徴とする。
分類上はアカギツネと同じ種に属し、学名は Vulpes vulpes である。「プラチナ」は毛色を表す名称であり、独立した種や亜種の名前ではない。ギンギツネの飼育繁殖の歴史と深い関わりがあり、その特徴的な毛色は遺伝学の研究対象にもなっている。Johnsonほか「プラチナ毛色の遺伝的原因」
基本情報
項目 | 内容 |
|---|---|
名称 | プラチナキツネ |
英名 | Platinum fox |
学名 | Vulpes vulpes |
分類 | 食肉目イヌ科キツネ属 |
分類上の位置づけ | アカギツネの毛色変異 |
毛色の特徴 | 淡い銀灰色の被毛と広い白斑 |
主な背景 | 毛皮用の飼育繁殖で知られる毛色 |
関係する遺伝子 | KIT |
毛色の分類と遺伝については、シドニー大学の動物遺伝情報データベース「OMIA」に整理されている。OMIA「Coat colour, platinum」
姿・特徴
代表的なプラチナキツネは、銀灰色の部分と白い部分が組み合わさった姿をしている。毛色の特徴は、全体の色調が淡いことに加え、白斑が広く現れることである。白斑とは、毛の色が白く抜けたように見える模様を指す。
ギンギツネ系統の濃い毛色に、この淡い色調と白い模様が加わることで、明暗のある毛並みとなる。研究論文でも、プラチナ毛色は「淡い銀色の被毛」と「広範囲の白斑」を持つ形質として説明されている。Johnsonほか「プラチナ毛色の特徴」
誕生と飼育繁殖の歴史
プラチナ毛色の歴史は、1933年にノルウェー北部の飼育ギンギツネの系統で生じた突然変異にさかのぼる。特徴的な毛色は毛皮産業で注目され、繁殖を通じて受け継がれていった。
1939年には、ノルウェーのプラチナキツネを扱った論文が発表されている。その後も、白斑の現れ方や親から子への遺伝について研究が重ねられた。プラチナキツネは、キツネの毛色の多様性と、人間による選択繁殖の歴史が結びついた存在である。Mohr・Tuff「The Norwegian Platinum Fox」
毛色を生む遺伝の仕組み
2015年の研究では、プラチナ毛色の原因となる変異が、KITという遺伝子に見つかった。遺伝子の情報が読み出される過程に影響する変異であり、特徴的な毛色と関連している。
OMIAでは、この形質の遺伝様式を「常染色体の不完全優性」としている。通常見られるプラチナキツネは、プラチナ毛色に関わる変異を片方の対立遺伝子に持つ個体である。同じ変異を両親から受け継いで二つ持つ場合には、胚の段階で致死となることが報告されている。
このため、プラチナ毛色の遺伝は、外見だけでなく発生や生存にも関わる形質として研究されてきた。OMIA「遺伝様式と分子基盤」
生態と暮らし
プラチナキツネを理解するうえでは、アカギツネという種の生態が基本となる。
アカギツネは雑食性で、野生ではネズミ類やウサギ類、昆虫、果実などを食べる。余った食べ物を隠して保存することもある。主に薄明薄暮や夜間に活動し、狩りは単独で行うことが多いが、子育てでは親や家族が協力する場合がある。
繁殖は一般に年1回で、妊娠期間は約51〜53日である。子どもは目が閉じた状態で生まれ、巣穴で育てられる。これらはアカギツネ全体についての情報であり、プラチナ毛色だけに特有の生態を示すものではない。Animal Diversity Web「Vulpes vulpes」
日本での飼育・展示
日本では、宮城県白石市の「宮城蔵王キツネ村」が、飼育するキツネの仲間としてプラチナキツネを紹介している。同施設の公式案内では「茶プラキツネ」という呼称も使われており、キツネの毛色の多様さを知ることができる。宮城蔵王キツネ村「キツネ村の仲間たち!」
プラチナキツネを観察する際には、銀灰色の濃淡と白い部分の広がりに注目すると、その毛色の特徴を捉えやすい。