ほっきょくぎつね ホッキョクギツネ

厚い毛皮と丸みのある体で厳しい寒さに適応した、北極圏に暮らすキツネ。

概要

ホッキョクギツネは、食肉目イヌ科キツネ属に分類される哺乳類である。学名は Vulpes lagopus。ユーラシア大陸や北アメリカ大陸の北部、グリーンランド、アイスランドなどに分布する。

主な生活場所は、樹木の少ないツンドラや海岸である。冬も活動を続け、雪と氷に覆われる環境で餌を探す。地上の巣穴を利用するほか、冬には海氷上へ出ることもある。Animal Diversity Web「Vulpes lagopus」

基本情報

項目

内容

和名

ホッキョクギツネ

学名

Vulpes lagopus

英名

Arctic fox

分類

食肉目イヌ科キツネ属

主な分布

北極圏とその周辺

頭胴長の目安

約55〜60cm

尾長の目安

約30cm

体重の目安

約2.5〜5kg

主な生息環境

ツンドラ、海岸、北極圏の島々

代表的な毛色

白色型・青色型

保全状況

低懸念(LC)

大きさは地域や性別、季節などによって異なる。表の数値はノルウェー極地研究所の解説に基づく。

姿と寒さへの適応

鼻先が短く、耳は小さく丸みを帯びている。脚も短く、冬毛に覆われた姿は全体に丸く見える。冬の被毛は、密な下毛と長い上毛からなり、体を厚く包み込む。ノルウェー極地研究所「形態」

足裏にも密な毛が生えている。学名の種小名「lagopus」は「ウサギの足」を意味し、この毛に覆われた足に由来する。小さな耳や短い体の各部、厚い被毛は、寒冷な環境で熱を失いにくくする特徴である。アラスカ州魚類野生動物局「Arctic Fox」

冬毛と夏毛、二つの毛色

ホッキョクギツネには、代表的な毛色として白色型と青色型がある。どちらも同じ種の毛色の違いである。

毛色の型

冬

夏

白色型

全身がほぼ白くなる

背中や頭部などが灰褐色になり、腹側は淡色になる

青色型

暗い灰色や褐色を保ち、やや淡くなる

暗い灰色や褐色になる

年に二度の換毛によって、厚い冬毛と短い夏毛が入れ替わる。「青色型」の青は鮮やかな青色を意味せず、暗い灰色などの毛色を指す。ノルウェー極地研究所「毛色と換毛」

食べ物と餌の保存

小動物を捕らえるほか、動物の死骸や果実なども利用する。

内陸ではレミングやハタネズミなど、沿岸では海鳥やその卵が重要な餌となる。海氷上で、ホッキョクグマが捕らえたアザラシの食べ残しを利用することもある。

餌が豊富な時期には、余った食べ物を岩の間や巣穴などに隠して保存する。小型のネズミ類を主食とする地域では、その増減が子どもの生存やキツネの個体数にも影響する。アラスカ州魚類野生動物局「食性」

巣穴と子育て

繁殖期にはつがいで子育てを行い、オスとメスの両方が巣へ餌を運ぶ。妊娠期間は約52日で、子どもは地中の巣穴で生まれる。一度に生まれる頭数は餌条件などによって変わり、多い場合には十数頭になる。

子どもは成長すると巣の外へ出るようになり、次第に周辺を探索し、自分で餌を探すようになる。アラスカ州魚類野生動物局「繁殖と成長」

巣穴には複数の出入口や通路があり、世代を超えて長期間使われるものもある。こうした巣は、ツンドラで子どもを育てるための重要な場所となっている。Animal Diversity Web「巣穴と行動」

海氷を渡る移動

ホッキョクギツネの中には、広い範囲を移動する個体がいる。海氷は、大陸や島の間を移動する経路にもなる。

そのため、離れた場所に暮らす個体群も、完全に孤立しているとは限らない。長距離を移動する個体の存在は、北極圏全体での個体群のつながりを考えるうえで重要である。ノルウェー極地研究所「分布と移動」

保全状況

世界全体では、IUCNレッドリストの低懸念(LC)に分類されている。一方、地域によって状況は大きく異なる。

スウェーデン、ノルウェー、フィンランドでは、過去の毛皮目的の捕獲によって大きく減少した。その後も、分布を広げるアカギツネとの競争や、餌となる動物の増減の変化などが回復を妨げてきた。

参考リンク

https://www.canids.org/arctic-fox-working-group