きつねもち 狐持ち
狐の霊(人狐や管狐など)を使役して富を得たり、他人に憑き物をさせたりすると信じられていた特定の家筋を指す日本の民間信仰(憑き物信仰)である。
狐持ちとは、狐の霊(人狐や管狐など)を使役して富を得たり、他人に憑き物をさせたりすると信じられていた特定の家筋を指す日本の民間信仰(憑き物信仰)である。特に、島根県や鳥取県などの山陰地方に色濃く残った歴史を持つ。
起源と成立
近世中期(江戸時代ごろ)に山陰地方(特に出雲・伯耆エリア)で発生した俗信とされている。家柄や財産を守るために、憑き物を使って他家を呪詛したり、富を運んできたりするという伝承が広がった。
社会的影響と差別
「狐持ちの家の血筋と結婚すると、憑き物も一緒についてくる」と深く忌み嫌われ、同じ地域での縁談や親類付き合いを拒絶されるなどの激しい差別問題を引き起こした。この慣習は士族や富裕層の家系にも及んだと記録されている。
歴史的処分
江戸時代の藩(鳥取藩など)では、当初は狐持ち騒動を起こした当事者や夫婦を国外追放などの極刑に処していた。しかし、藩政中期以降は村の荒廃を防ぐために追放処分を緩和し、祈祷などによる解決を図るようになっている。
近代以降の状況
明治時代以降、政府はこの俗習を「迷信」として排除に努めた。昭和に入ってもなお、地域社会における結婚差別などの弊害として残存していましたが、現代では教育の普及や人権意識の向上により、その風習はほぼ消滅している。