きつねのこんのかたおもい/みやじかずあき きつねのコンの片思い/宮路一昭
「きつねのコンの片思い」は、TVアニメ『ニャニがニャンだー ニャンダーかめん』のために宮路一昭が制作した劇伴曲である。2000年3月23日発売の『ニャニがニャンだーニャンダーかめん オリジナル・サウンドトラック』に収録され、配信版では全39曲中33曲目に配置されている。楽曲時間は1分03秒である。 タイトルにある「コン」は、作中に登場する白いキツネの少女の名前である。コンは青いヤマネコのニャオンに恋をしており、失敗を繰り返す彼を「ニャオンさま」と呼んで一途に支えている。サンライズ公式でも、コンについて「失敗ばかりのニャオンを『ニャオンさま』と応援し、一途に尽くしている」と紹介されている。 したがって本曲は、単に狐を題名へ使った作品ではない。実際に狐のキャラクターであるコンの恋愛感情を表現したキャラクター劇伴であり、「キツネの少女の片思い」をそのまま楽曲名にした狐との関係が非常に明確な作品である。
基本情報
タイトル:きつねのコンの片思い
アーティスト/作曲:宮路一昭
形態:インストゥルメンタル/アニメ劇伴
使用作品:ニャニがニャンだー ニャンダーかめん
収録作品:ニャニがニャンダーニャンダーかめん オリジナル・サウンドトラック
発売日:2000年3月23日
配信版収録順:33曲目
楽曲時間:1分03秒
CD品番:TYCY-10033
国:日本
Apple Musicでは宮路一昭名義の楽曲として登録され、Spotifyでも『ニャニがニャンダーニャンダーかめん(オリジナル・サウンドトラック)』の33曲目として配信されている。
楽曲について
「きつねのコンの片思い」は歌詞を持つキャラクターソングではなく、アニメの劇中で使用される短いインストゥルメンタルである。
そのため「コンがどのような恋心を歌っているのか」を歌詞から読み解く作品ではない。
曲名そのものが、
きつねのコン
+
片思い
という構成になっており、アニメ本編で描かれるコンとニャオンの関係を端的に表している。
サウンドトラックにはキャラクターや場面をそのまま表したタイトルの劇伴が多数収録されており、
「ニャオン」
「ニャオンのブルース」
「ニャオンの嫉妬」
「チョコマカ!ニャオン」
「御存じ!ギンコ姉さん」
「きつねのコンの片思い」
などが並んでいる。
本曲もその一つで、コンの恋愛面を象徴するキャラクター用の劇伴タイトルである。
キツネとの関係
本作とキツネとの関係は非常に直接的である。
「コン」というキャラクター自身が白いキツネの少女だからである。
チバテレの公式番組紹介でも、
コン:白いキツネの少女
と明記されている。声は内川藍維が担当する。
したがって本曲は、
狐を人間の比喩として使う作品
タイトルだけに狐が入る作品
妖狐伝承を引用した作品
ではない。
作中に実在する「キツネのキャラクター」の心情を表した楽曲である。
ふぉくすなっ♪で分類するなら、「狐キャラクターを題材としたアニメ劇伴」に位置付けることができる。
コン
コンは、『ニャニがニャンダー ニャンダーかめん』に登場する白いキツネの少女である。
公式キャラクター紹介では、失敗ばかりしているニャオンを「ニャオンさま」と呼び、一途に応援しているキャラクターと説明されている。
ニャオンは町の人気者になることを夢見る青いヤマネコであり、主人公ニャンダーかめんをライバル視してさまざまなことへ挑戦する。
しかし計画は失敗することが多い。
そのたびにコンはニャオンを見捨てるどころか、変わらず彼を慕い続ける。
この「一途に尽くすキツネ」というキャラクター性が、「きつねのコンの片思い」という題名へそのまま表れている。
ニャオンへの片思い
コンが恋をしている相手は、山猫のニャオンである。
サンライズ公式ではニャオンについて、「町の人気者になるために何度もニャンダーに挑戦するが、失敗ばかりしている」と説明されている。
そのすぐ後にコンが紹介され、
「失敗ばかりのニャオンを『ニャオンさま』と応援し、一途に尽くしている」
とされている。
つまり、この二人の関係は公式紹介の時点でもセットになっている。
ニャオンが成功しているから好きなのではない。
何度失敗してもコンにとっては「ニャオンさま」である。
その報われない一途な恋心を音楽で表したのが「きつねのコンの片思い」である。
「ニャオンさま」
コンはニャオンを「ニャオンさま」と呼ぶ。
この呼び方だけでも、彼女がニャオンをどれほど高く評価しているかが分かる。
ニャオン本人は人気者になることに強くこだわっているが、コンにとってはすでに十分な憧れの存在である。
周囲から見ればニャオンが失敗していても、コンだけは彼を格好いい存在として見続ける。
サンライズ公式のシーン紹介にも、
「ニャンダーに勝つためトレーニングに励むニャオン。どんなにヘマばかりしていてもコンはそんなニャオンのことが大好きだ」
と説明されている。
本曲の「片思い」は、この関係そのものを指している。
ニャオンの家で尽くすコン
コンは、単に遠くからニャオンを眺めているだけのキャラクターではない。
資料では、ニャオンに恋をし、彼の家で洗濯や炊事まで行っている人物として説明されている。
そのため彼女の恋は非常に行動的である。
ニャオンのそばにいる。
身の回りの世話をする。
人気者になるために応援する。
失敗しても励ます。
ニャオンのために周囲へ相談する。
という形で、恋愛感情が日常の行動へ表れている。
「片思い」という題名ではあるものの、コンは受け身のキャラクターではなく、自分なりの方法で積極的にニャオンへ尽くしている。
「おいたわしや、ニャオンさま」
コンを象徴する言動の一つが、ニャオンが失敗したときに彼を心配する姿である。
非公式キャラクター資料では、ニャオンが失敗するとコンが「おいたわしや」と彼を気遣うことが繰り返し描かれるとされている。
この関係の面白さは、コン自身がニャオンの欠点をあまり欠点として認識していないところにある。
ニャオンが格好悪い失敗をしても、
「やっぱりダメな人だ」
とはならない。
むしろ、
「かわいそうなニャオンさま」
となる。
ニャオンへの評価がほとんど揺らがないことが、コンの一途さをコミカルに表現している。
白いキツネ
コンの外見上の大きな特徴は、白いキツネであることだ。
公式紹介でも明確に「白いキツネの少女」とされている。
ただし、作品内でコンが、
ホッキョクギツネ
白変種のアカギツネ
白狐
など、現実の特定のキツネ種・変異であるという説明は確認できない。
また、日本の伝承における霊狐・白狐として設定されているわけでもない。
あくまで『ニャンダーかめん』の世界に暮らす、擬人化された白いキツネの少女である。
そのため狐Wikiで扱う場合は、
「白狐伝承」
ではなく、
「創作に登場する白いキツネキャラクター」
として整理する方が正確である。
「コン」という名前
「コン」という名前は、日本でキツネの鳴き声を表す「コンコン」を強く連想させる。
日本では童謡や昔話などを通じて、
キツネ=コンコン
という擬声語が広く定着している。
白いキツネの少女に「コン」という名前が付けられているため、キャラクター名だけで狐だと分かりやすい造形になっている。
ただし、やなせたかしやアニメスタッフが「狐の鳴き声から命名した」と明言した一次資料は今回確認できなかった。
そのため、
「コンコンという狐の鳴き声を連想させる名前」
とするに留め、命名由来として断定しない方がよい。
変身の術
コンには、狐らしい能力も設定されている。
キャラクター資料では「変身の術」を使うことができるものの、なかなか本人が望んだ姿には変身できないとされている。
狐が別の姿へ化けるという能力は、日本の昔話や妖狐伝承を代表する特徴である。
そのためコンは、単に外見だけが狐の少女なのではなく、
「狐は化ける」
という伝承的な性質もコミカルな能力として与えられている。
ただし強力な妖狐として描かれるわけではない。
変身が思い通りにいかないという失敗も含め、『ニャンダーかめん』らしい親しみやすい狐キャラクターへ落とし込まれている。
ギンコとの関係
コンは、カワウソのギンコを「姉さん」と呼んで慕っている。
サンライズ公式では、ギンコについて「コンが『姉さん』と呼んで慕う姉御肌のカワウソ」と紹介され、ニャオンが人気者になるためのアイデアを授ける役割も担っている。
つまりコンは、自分一人でニャオンを応援するだけでなく、ギンコへ相談しながら彼の成功を手助けしようとする。
恋の成就だけを目指すというより、
「ニャオンさまを人気者にしたい」
という願いを持っている点も特徴である。
この献身的な性格が、本曲の「片思い」という少し切ないタイトルと、アニメ本編のコミカルさを両立させている。
狐と山猫の恋
コンはキツネ。
ニャオンは山猫。
つまり本作で描かれる片思いは、異なる動物種の擬人化キャラクター同士の恋である。
ただし『ニャンダーかめん』では、さまざまな種類の動物が同じ町や森で生活しているため、異種間の恋愛が特別な問題として扱われているわけではない。
本作の世界には、
ネコ
ヤマネコ
キツネ
カワウソ
カッパ
ヒヒ
翼竜
など多様なキャラクターが共存する。チバテレも、ニャンウッドの森やキャットタウンを「様々な生き物が仲良く暮らす」世界として紹介している。
その中で「キツネの少女がヤマネコの男性に恋をする」という関係も、自然なキャラクター関係として描かれている。
『ニャニがニャンだー ニャンダーかめん』
『ニャニがニャンだー ニャンダーかめん』は、やなせたかし原作のTVアニメである。
2000年2月6日から2001年9月30日まで放送され、全83回が制作された。サンライズ公式では、主人公ニャーゴが助けを求める声を聞くとニャンダーかめんへ変身し、困っている者を救う物語として紹介されている。
原作:やなせたかし
総監督:芝山努
監督:岩崎知子
シリーズ構成:桜井正明
キャラクターデザイン:柳田義明・鈴木玲子
音楽:宮路一昭
というスタッフで制作された。
コンは主人公ではないが、ニャオン、ギンコらとともに繰り返し登場する主要なサブキャラクターの一人である。
サウンドトラック
「きつねのコンの片思い」が収録された『ニャニがニャンダーニャンダーかめん オリジナル・サウンドトラック』は、2000年3月23日に発売された。
Apple Musicでは全39曲・44分の作品として配信されている。
主題歌・キャラクターソングに加えて多数の劇伴が収録されており、後半には、
- 御存じ!ギンコ姉さん
- スタイリストカザール先生
- マントヒヒの飛行
- 大慌て!
- きつねのコンの片思い
- ニャンダーの追跡
- 飛べ!人力飛行機
- ヨタヨタのサラキチ
- 明日へ…その1
- 明日へ…その2
- 大いなる感動
という劇伴が収録されている。
「きつねのコンの片思い」は、その中でも特定の狐キャラクターと感情を曲名にした一曲である。
宮路一昭
宮路一昭は、『ニャニがニャンだー ニャンダーかめん』の音楽を担当した作曲家である。
サンライズ公式スタッフ情報でも、作品の音楽担当として宮路一昭の名前が記載されている。
サウンドトラックでは、
「ニャンダーかめんのテーマ」
「ニャオン」
「ニャオンの嫉妬」
「ニャーゴのテーマ」
「御存じ!ギンコ姉さん」
「きつねのコンの片思い」
など、登場キャラクターや場面に応じた多数の劇伴を手掛けている。
「きつねのコンの片思い」は、その中でも狐キャラクター・コンに焦点を当てた楽曲である。
狐関連楽曲としての位置付け
「きつねのコンの片思い」は、狐との関係が非常に分かりやすい作品である。
タイトルに「きつね」とある。
コン自身が白いキツネである。
名前も狐の鳴き声「コンコン」を連想させる。
狐らしい変身の術も使える。
そして、ニャオンへの一途な恋心が曲名そのものになっている。
一方で、
妖狐の恐怖
九尾の狐
稲荷信仰
狐の嫁入り
といった伝承を中心とした作品ではない。
本作で描かれる狐は、恋をし、好きな相手を応援し、失敗すれば心配する、一人の少女としての「コン」である。
狐という動物の姿と「化ける」という伝承的な特徴を持ちながら、人間と同じような恋心を持つキャラクターとして描かれている。
『ニャンダーかめん』に登場する白いキツネ・コンのニャオンへの報われない一途な思いを表現した、狐キャラクターの恋愛を題材とするアニメ劇伴である。