きつねのよめいり/しゃんしゃんたいふーん キツネの嫁入り/上々颱風

「キツネの嫁入り」は、日本の音楽グループ・上々颱風による楽曲である。1996年7月22日に発売された6thアルバム『た★め ご◎ま』に収録され、全12曲中8曲目に配置されている。作詞・作曲はいずれも上々颱風のリーダー・紅龍が担当している。楽曲時間は4分50秒である。 タイトルには、日本に伝わる狐にまつわる言葉「狐の嫁入り」がそのまま使用されている。「狐の嫁入り」は、晴れているのに雨が降る「天気雨」を指す言葉としてよく知られるほか、狐たちの婚礼行列を思わせる怪しい灯火を指す伝承にも用いられてきた言葉である。 一方、現在オンラインで確認できる上々颱風およびレーベル側の資料には、この曲について紅龍本人が「どの狐の嫁入り伝承を題材にしたか」「具体的にどのような物語なのか」を解説した記録は見つからない。そのため、狐との関係については、確認できるタイトルと日本の「狐の嫁入り」という文化的背景を中心に整理するのが適切である。

基本情報

タイトル:キツネの嫁入り
アーティスト:上々颱風
作詞:紅龍
作曲:紅龍
収録アルバム:た★め ご◎ま
発売日:1996年7月22日
収録順:8曲目
楽曲時間:4分50秒
レーベル:Epic/Sony Records系
国:日本

Apple Musicでは『た★め ご◎ま』収録曲として「キツネの嫁入り」が配信され、紅龍が作詞・作曲者としてクレジットされている。

楽曲について

「キツネの嫁入り」は、上々颱風が得意とする日本的・民俗的な響きを持つタイトルの楽曲である。

アルバム『た★め ご◎ま』には、

「トッピンカラリン」
「鳥の歌」
「檜原音頭 Part I」
「クンタクンタ大明神」
「キツネの嫁入り」
「極楽ルムバ」
「檜原音頭 Part II」

など、民謡、祭り、土地、神仏、動物などを思わせる題名が並んでいる。

その中に「キツネの嫁入り」が配置されていることからも、日本の民俗的な言葉を上々颱風独自の音楽へ取り込んだ一曲として見ることができる。

ただし、現在確認できる公式系資料では歌詞全文や楽曲個別の制作意図が公開されていないため、「実際に狐が結婚する物語」「天気雨そのものを描いた歌」などと内容まで断定することは避けた方がよい。

キツネとの関係

本作とキツネとの明確な関係は、曲名の「キツネの嫁入り」にある。

「狐の嫁入り」は、日本の狐文化を代表する言葉の一つである。

主に、

晴れているのに雨が降る天気雨

と、

夜間に連なって見える怪しい灯火を狐の婚礼行列とみなした伝承

という二つの意味で知られている。

狐をただ動物名として曲名に入れたのではなく、日本で古くから狐と結び付けられてきた「嫁入り」という一まとまりの民俗表現を題名に採用している点が重要である。

そのため、ふぉくすなっ♪では「狐の嫁入り・狐伝承に関係する楽曲」として分類できる。

「狐の嫁入り」とは

「狐の嫁入り」は、日本各地で語られてきた狐に関する俗信・伝承である。

代表的な意味の一つが「天気雨」である。

空が晴れて太陽が見えているにもかかわらず雨が降るという、一見すると矛盾した天候を、昔の人々は不可思議な現象として捉えた。

その理由を、

人間には見えないところで狐が婚礼を行っている

と説明し、「狐の嫁入り」と呼ぶようになったとされる。

自然現象を狐の神秘的な行動へ結び付けた、日本らしい狐文化の一つである。

婚礼行列としての「狐の嫁入り」

「狐の嫁入り」には、天気雨とは別に、夜間に見える怪しい火の列を指す用法もある。

暗闇の中で多数の灯火が連なって動いているように見える現象を、人間には姿を見せない狐たちが提灯を持って婚礼行列を行っているのだと考えた。

これは「狐火」とも深く関係する伝承である。

その想像上の情景では、

花嫁となる狐
花婿となる狐
婚礼に参加する狐たち
闇夜に連なる灯火

という、人間の婚礼を狐の世界へ置き換えた物語が形成されている。

上々颱風の楽曲タイトルも、この日本で定着した言葉と同じ「キツネの嫁入り」である。

天気雨との関係

海外の音盤データベースDiscogsでは、『た★め ご◎ま』の「キツネの嫁入り」に対して英語で「Sunshower」という表記が付けられている。

「sunshower」は、日が照っている状態で雨が降る「天気雨」を意味する英語である。

そのため少なくとも英語表記上では、「狐の嫁入り」の意味として天気雨が対応付けられている例を確認できる。

ただし、この英訳が紅龍本人による正式な英題であることまでは確認できない。そのため、「楽曲が確実に天気雨だけを題材としている」と断定する根拠にはせず、タイトルの文化的意味を理解する参考情報として扱うのがよい。

「キツネ」という表記

本作では「狐」ではなく、カタカナで「キツネ」と表記されている。

つまり曲名は、

「狐の嫁入り」

ではなく、

「キツネの嫁入り」

である。

漢字で表記すると昔話や民俗資料の名称に近い印象になるが、カタカナにすることで、より親しみやすく、現代的な楽曲タイトルになっている。

上々颱風は民謡・祭囃子的な要素を取り入れながらも、それをそのまま伝統音楽として再現するのではなく、ロックやポップスなどと混ぜ合わせた独自の音楽を展開してきた。

「キツネ」という表記も、その伝統的な民俗語を現代のポピュラー音楽へ持ち込んだタイトルとして見ることができる。

「嫁入り」という言葉

「嫁入り」は、女性が結婚して相手の家へ入ることを表す日本語である。

狐の嫁入り伝承では、人間社会の婚礼儀礼が狐の世界にも存在すると想像されている。

これは狐を単なる野生動物ではなく、

人間のような社会を持つ
結婚する
行列を作る
祝い事を行う

存在として見る考え方でもある。

日本の昔話では狐が人間の姿へ化けるだけでなく、人間と結婚する異類婚姻譚も存在するため、「狐」と「婚姻」は日本文化の中で比較的結び付きの強い題材である。

狐が人間のように暮らす世界

狐の嫁入りという伝承が興味深いのは、狐が「人間を化かす怪物」としてだけ描かれていないことである。

狐にも、

親族がいる
婚礼がある
花嫁と花婿がいる
行列を作る

という、人間と似た社会が存在すると想像されている。

人間からはその姿を見ることができず、見えるのは雨や怪しい灯火だけ。

その向こう側に「狐たちの世界」があると考える。

こうした「人間のすぐそばにありながら普段は見えない狐の世界」という発想は、日本の狐伝承の大きな特徴の一つである。

「キツネの嫁入り」というタイトルは、その文化をわずか七文字で想起させる。

狐火との関係

婚礼行列型の「狐の嫁入り」と深く結び付くものに「狐火」がある。

狐火は、夜間の山野などに現れる正体不明の怪しい火を狐の仕業と考えた怪異である。

一つだけではなく多数の光が連なって見える場合、それを狐の婚礼行列の提灯に見立てる伝承も生まれた。

したがって、

狐火
↓
火の列
↓
提灯行列のように見える
↓
狐たちの婚礼
↓
狐の嫁入り

という形で二つの狐文化が結び付いている。

ただし、上々颱風の楽曲に狐火そのものが登場するという公式な説明は確認できないため、あくまでタイトル「キツネの嫁入り」の民俗的背景として理解するのが適切である。

アルバム『た★め ご◎ま』

「キツネの嫁入り」は、上々颱風の6thアルバム『た★め ご◎ま』に収録されている。

オリジナル発売日は1996年7月22日。全12曲で構成され、「キツネの嫁入り」は8曲目である。

収録曲は以下の通りである。

  1. 本物しなけりゃ意味がない
  2. トッピンカラリン
  3. ハレルヤ
  4. 鳥の歌
  5. マドゥラの海へ
  6. 檜原音頭 Part I
  7. クンタクンタ大明神
  8. キツネの嫁入り
  9. 極楽ルムバ
  10. 聞こえるかい
  11. 名もなくまぶしくスチャラカに
  12. 檜原音頭 Part II

Apple Musicでは全12曲・約52分の作品として配信されている。

檜原村での合宿録音

『た★め ご◎ま』は、東京都檜原村で行われた合宿レコーディングによって制作された。

紅龍自身が、上々颱風30周年企画でこのアルバムについて振り返り、大自然の中でメンバーが共同生活しながら録音したことを説明している。紅龍によれば、音楽だけでなく生活まで一緒になる合宿形式はかなり大変だったようで、「二度とごめん」というほど強烈な経験だったという。

同アルバムには実際に「檜原音頭 Part I」「檜原音頭 Part II」も収録されており、制作環境そのものが作品へ入り込んでいる。

山や森林の多い檜原村で録音されたアルバムに、「キツネの嫁入り」という自然・民俗的な題名の曲が収録されている点も興味深い。

ただし、この曲そのものが檜原村で見た狐や天気雨から作られたという紅龍の証言は確認できないため、両者を直接結び付けることはできない。

アルバムでの位置

「キツネの嫁入り」は『た★め ご◎ま』の8曲目である。

前後には、

  1. 檜原音頭 Part I
  2. クンタクンタ大明神
  3. キツネの嫁入り
  4. 極楽ルムバ

と、祭りや神、狐、踊りを連想させる個性的な曲名が続く。

上々颱風らしい民俗的・祝祭的な雰囲気を感じさせる並びであり、「キツネの嫁入り」という日本の伝承語も、このアルバムの世界に自然に溶け込んでいる。

ただし、これら4曲が一つのストーリーを構成しているという公式説明は確認できない。

紅龍

「キツネの嫁入り」の作詞・作曲を担当した紅龍は、上々颱風のリーダーである。

Apple Musicのクレジットでも、本作の作詞・作曲者として紅龍が明記されている。

『た★め ご◎ま』では「キツネの嫁入り」のほか、

「本物しなけりゃ意味がない」
「トッピンカラリン」
「ハレルヤ」
「鳥の歌」
「マドゥラの海へ」
「極楽ルムバ」
「聞こえるかい」
「名もなくまぶしくスチャラカに」

など、多くの楽曲を紅龍が作詞・作曲している。

上々颱風の音楽的世界を形作った中心人物の一人である。

上々颱風について

上々颱風は、日本の民謡や祭囃子を思わせる要素と、ロック、ポップス、レゲエなどさまざまな音楽を混ぜ合わせて活動した日本の音楽グループである。

紅龍、西川郷子、白崎映美らを中心とし、1990年にEpic/Sonyからアルバム『上々颱風』を発表してメジャーシーンへ進出した。その後『上々颱風2』『上々颱風3』『愛があるから大丈夫』『八十日間亜州一周』『た★め ご◎ま』などを発表している。

1994年にはスタジオジブリ映画『平成狸合戦ぽんぽこ』のエンディングテーマ「いつでも誰かが」を担当したことでも知られる。

上々颱風の作品では、日本やアジアの民俗文化をそのまま保存的に再現するというより、現代のバンド音楽の中へ大胆に取り込み、賑やかで独自性の高い音楽へ変えることが特徴となっている。

「キツネの嫁入り」も、そうした上々颱風の音楽世界に日本の狐伝承を思わせる題名が入り込んだ一曲である。

「平成狸合戦ぽんぽこ」と動物モチーフ

上々颱風は、本曲発表以前の1994年に『平成狸合戦ぽんぽこ』の主題歌「いつでも誰かが」を担当している。

『平成狸合戦ぽんぽこ』は狸を中心とした作品であるが、作中には狐も登場し、現代社会へ適応した狐たちが狸とは異なる生き方を選んでいる。

その後の1996年に上々颱風が「キツネの嫁入り」を発表していることから、上々颱風のディスコグラフィーを狐・狸という日本の動物文化の視点から見るのも興味深い。

ただし、「キツネの嫁入り」が『平成狸合戦ぽんぽこ』から影響を受けて制作されたことを示す資料は確認できないため、作品間の直接的な関係はないものとして扱うべきである。

狐関連楽曲としての位置付け

「キツネの嫁入り」は、狐との関係を「題名だけ」と完全に切り離すことはできない。

なぜなら「キツネの嫁入り」という言葉自体が、

狐
婚礼
天気雨
狐火
異界

といった日本の狐文化を内包した固有の民俗表現だからである。

一方、現時点で確認できる公開資料からは、

狐が主人公として歌詞に登場するのか
実際の婚礼行列を物語にしているのか
天気雨を中心に描いているのか
狐火を題材としているのか

までは確実に確認できない。

そのため本作については、

「日本の伝承・俗信である『狐の嫁入り』をタイトルに掲げた上々颱風の楽曲」

とするのが最も確実である。

1990年代の日本のポピュラー音楽の中で、「狐の嫁入り」という古くからの狐文化をそのまま曲名に採用した、民俗的な狐関連楽曲として位置付けることができる。

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