きつねがみ/ここ&しとお キツネガミ/狐子&しとお
「キツネガミ」は、音楽クリエイター・蟹木しとおによる合成音声楽曲である。歌唱には音楽的同位体「狐子(COKO)」が使用され、2024年11月8日にしとお本人のYouTubeチャンネルで「キツネガミ │蟹木しとお Vo.狐子」として公開された。動画ではMusic、Illustration、Movieを蟹木しとお自身が担当している。 その後、2024年12月11日に「狐子 & しとお」名義のデジタルシングルとして配信された。Apple MusicではJ-Pop作品として登録され、作詞・作曲・アレンジはしとお、レーベルはPHENOMENON RECORDとなっている。 楽曲時間は約2分36秒。Spotifyでも「キツネガミ」はしとおの楽曲として2分36秒で登録されている。 タイトルは「キツネガミ」。文字通り読めば「狐神」であり、狐と神という日本の伝承・信仰を連想させる名称である。 さらに歌唱を担当する合成音声の名称も「狐子」であるため、 キツネガミ × 狐子 という狐の文字が重なる組み合わせになっている。 ただし、音楽的同位体・狐子そのものは「狐の妖怪」や「稲荷神の狐」として公式設定されているキャラクターではない。狐子はバーチャルロックシンガー・幸祜の歌声をベースに制作された人工歌唱ソフトウェアである。 したがって本作は、「狐子だから狐の歌」というよりも、しとおが「キツネガミ」という狐神的な題材の歌唱者として狐子を選んだ作品として整理するのが適切である。
基本情報
タイトル:キツネガミ
アーティスト表記:狐子&しとお
制作:蟹木しとお
歌唱:狐子(COKO)
作詞:しとお
作曲:しとお
編曲:しとお
イラスト:蟹木しとお
映像:蟹木しとお
動画公開日:2024年11月8日
デジタル配信日:2024年12月11日
楽曲時間:約2分36秒
形態:合成音声楽曲/デジタルシングル
ジャンル:J-Pop
レーベル:PHENOMENON RECORD
国:日本
楽曲について
「キツネガミ」は、しとおによる音楽・イラスト・映像を一体化した作品である。
しとおの公式動画では、
Music / Illustration / Movie:蟹木しとお
Vocal:狐子
という形で制作情報が示されている。
そのため本作では、
曲
歌声
キャラクターの視覚表現
映像
までをしとお自身の世界観によって統一している。
楽曲単体だけではなく、MVを含めて一つの作品として見ることが重要である。
キツネとの関係
本作におけるキツネとの最も直接的な関係は、タイトルの「キツネガミ」である。
一般的な日本語へ置き換えるなら、
キツネガミ
=
狐神
となる。
狐と神を組み合わせた名称であり、日本の文化では、
稲荷信仰
神使としての狐
霊狐
神狐
妖狐
などさまざまな狐文化を連想させる。
ただし、本作が特定の稲荷神社、稲荷神、狐伝承を直接原典としているとする、しとお本人による詳細な解説は確認できない。
そのため、
「稲荷神そのものを歌った作品」
「特定の狐神伝承を再現した作品」
と断定するのは避けた方がよい。
確実に言えるのは、タイトルそのものが「狐+神」という超自然的な狐像を前面に出していることである。
「狐神」
日本では狐と神は非常に深い関係を持つ。
特に稲荷信仰では狐がよく知られている。
ただし重要なのは、
稲荷神=狐
ではないという点である。
一般的に狐は稲荷神そのものではなく、稲荷神の眷属・神使として理解される。
一方で民間信仰や創作では、
狐神
お狐様
神狐
白狐
といった形で、狐そのものへ神聖性が与えられることも多い。
「キツネガミ」というタイトルは、そうした日本文化の中で成立してきた「神聖な狐」というイメージを自然に想起させる名称である。
ただし本作について、しとお本人が稲荷信仰を直接参照したと明言した資料は確認できないため、文化的な連想として区別する必要がある。
妖狐なのか、神狐なのか
「キツネガミ」というタイトルから考えると、一般的な「妖狐」よりも神性を持った狐を想像しやすい。
しかし、
妖狐
神狐
稲荷狐
天狐
九尾の狐
のどれに分類される存在なのかは、公開されている公式情報だけでは確定できない。
そのためサイト上では、
「狐神を題材・モチーフにした合成音声楽曲」
とするのが最も安全である。
具体的な妖狐の階級や伝承を追加する必要はない。
タイトルがカタカナである意味
タイトルは「狐神」ではなく、
「キツネガミ」
とカタカナで表記されている。
同じ言葉でも、
狐神
と漢字で書けば、神道・伝承・古典的な印象が強くなる。
一方、
キツネガミ
とカタカナで書くことで、固有名詞や怪異の名称のような印象が生まれる。
しとお作品には怪物、異界、死、生、祈りなどを扱うタイトルが多く、「キツネガミ」も単なる一般名詞というより、作品世界に存在する一つの存在名のように見える。
ただし、カタカナ表記を選んだ具体的な意図をしとお本人が説明した資料は確認できない。
狐子との組み合わせ
本作でもう一つ重要なのが、歌唱が「狐子」であることである。
タイトル:
キツネガミ
歌唱:
狐子
となる。
狐という文字を持つ合成音声が、「狐神」という名前の楽曲を歌う形になっている。
これは非常に印象的な組み合わせである。
ただし、狐子の「狐」という文字だけを理由に、
「狐子は狐キャラクターだから起用された」
と断定することはできない。
しとお自身がその起用理由を明言した資料は確認できないためである。
そのため、
「タイトルと歌唱音源名の双方に狐が現れる」
という事実として紹介するのがよい。
狐子(COKO)
狐子は、KAMITSUBAKI STUDIOの「音楽的同位体プロジェクト」から生まれた人工歌唱ソフトウェアである。
公式サイトでは、
バーチャルシンガー・幸祜の歌声をベースとし、
幸祜の「音楽的同位体」として誕生した存在
と説明されている。
音声創作ソフトウェア「CeVIO AI」とのコラボレーションによって開発されたソングボイスで、AI技術によって人間の声質や歌い方を再現する。
2023年1月25日に発売された。
狐子は「狐のキャラクター」なのか
名称だけを見ると、
狐子
という漢字からキツネの少女を想像しやすい。
しかし、音楽的同位体公式の狐子紹介では、
「バーチャルシンガー幸祜の歌声をベースとした人工歌唱ソフトウェア」
として説明されており、
妖狐
狐神
キツネの擬人化
といった設定は記載されていない。
したがって、ふぉくすなっ♪で狐子を扱う場合、
名前・ビジュアル・作品ごとの狐モチーフ
と、
公式設定として本当に狐なのか
は分けて整理した方がよい。
「キツネガミ」の場合は、曲名そのものに狐があるため、狐子自身の設定に関係なく狐関連楽曲として扱うことができる。
音楽的同位体「狐子」クリエイターズ
「キツネガミ」は音楽的同位体公式YouTubeチャンネルの「狐子(COKO) クリエイターズ」再生リストにも収録されている。
このプレイリストには、さまざまなクリエイターが狐子を使用して制作したオリジナル楽曲がまとめられている。
音楽的同位体公式でも、狐子発売前から気鋭のボカロPによるオリジナル作品を公開してきたことが説明されている。
「キツネガミ」も、狐子を用いた公式クリエイター作品群の一つとして扱われている。
「きつねのうた」も存在する狐子
興味深いことに、狐子を使用した楽曲には「キツネガミ」以外にも狐を題名に持つ作品がある。
公式クリエイター企画初期には、meiyoによる「きつねのうた」が2022年10月28日に公開されている。
つまり狐子という合成音声は、名前に「狐」が含まれることもあり、複数のクリエイターから狐を題材とする作品に使用されてきた。
ただし、これも狐子公式が「狐ソング専用キャラクター」として展開していることを意味するものではない。
2024年11月8日の動画公開
「キツネガミ」は、2024年11月8日に動画作品として公開された。
音楽的同位体・狐子のクリエイター楽曲一覧でも、2024年11月8日の作品として「キツネガミ/蟹木しとお」が記録されている。
しとお本人のYouTubeでは、
「キツネガミ │蟹木しとお Vo.狐子」
というタイトルで公開された。
したがって初出は、
2024年11月8日
である。
2024年12月11日のデジタル配信
動画公開から約1か月後、2024年12月11日に「キツネガミ - Single」として音楽配信サービスへ登場した。
Apple Musicでは、
アーティスト:狐子、しとお
リリース:2024年12月11日
ジャンル:J-Pop
として登録されている。
海外Apple Musicでは、
℗ 2024 PHENOMENON RECORD
というレーベル情報も確認できる。
そのため公開履歴は、
2024年11月8日:MV公開
2024年12月11日:デジタルシングル配信
と分けて記録するのがよい。
作詞・作曲・編曲
Apple Musicでは、しとおが本曲のソングライターおよびアレンジャーとしてクレジットされている。
さらに公式MVでは、
Music
Illustration
Movie
の全てを蟹木しとおが担当したことが確認できる。
つまり本作は、
作詞
作曲
編曲
イラスト
映像
まで、しとお自身の手によって作られた作品である。
音楽だけを別のイラストレーターや映像作家へ委ねるのではなく、視覚世界まで作者自身で構築している点が特徴である。
蟹木しとお
蟹木しとおは、作詞・作曲だけでなく、イラストや映像制作も行う日本の音楽クリエイターである。
Apple Musicでは「しとお」名義で、
『メモリー』
『棺の舟』
『TOMURA』
『結』
などのアルバム作品が確認できる。
代表的な楽曲には、
シロクロリバーシ
逢魔時の帰り方
404:虚像
一ツ眼リッパー殺人事件
棺の舟
などがある。
怪異、死、生、祈り、異界、人間の内面などを思わせる作品名が多く、「キツネガミ」もそうした怪異的世界観と親和性の高い作品である。
しとおと狐子
「キツネガミ」が、しとおにとって初めて狐子を使用した作品というわけではない。
2023年には、音楽的同位体 狐子のコンピレーションアルバム『イノセンス vol.2 爛漫のイノセンス』に「逢魔時の帰り方」が収録されており、しとお&狐子名義で配信されている。
したがって、
しとお
×
狐子
という組み合わせには「キツネガミ」以前から制作実績がある。
「キツネガミ」は、その組み合わせで改めて2024年に制作された楽曲である。
「逢魔時」と狐
しとおが以前に狐子を使用した「逢魔時の帰り方」というタイトルも興味深い。
「逢魔時」は夕暮れ時を意味し、古くから怪異や妖怪と遭遇しやすい時間として語られてきた。
そして2024年には「キツネガミ」。
しとおと狐子の組み合わせには、
逢魔時
狐神
という、日本の怪異文化と相性のよい題材が続いている。
ただし両曲が同一世界観に属する、連作である、といった公式説明は確認できない。
そのため別作品として扱う必要がある。
狐神と稲荷
「狐神」という言葉から、特に連想されやすいのが稲荷信仰である。
日本全国の稲荷神社では狐像が多く見られる。
しかし狐は通常、
稲荷神そのもの
ではなく、
稲荷神の眷属・神使
として位置付けられる。
それでも民間信仰や創作の中では、狐そのものが「お狐様」「狐神」のように神聖視される場合がある。
「キツネガミ」という題名は、こうした文化的背景を自然に想起させる。
ただし、
この曲のキツネガミ=稲荷神
と断定できる根拠は確認できない。
ふぉくすなっ♪の記事では、
「稲荷信仰を連想させるが、特定の稲荷神を題材にしたとする公式説明はない」
と区別するのが適切である。
神狐との関係
日本では、神聖な狐を「神狐」と表現することがある。
白狐などが神の使いとして描かれ、
人間へ恩恵を与える
神意を伝える
神社を守る
といった役割を持つこともある。
「キツネガミ」は名称上、このような神狐文化とも近い。
ただし、
「キツネガミ=神狐」
という公式設定も確認できない。
あくまでタイトルから生まれる文化的な接点である。
九尾の狐との関係
狐を題材とした楽曲では九尾の狐を扱う作品が非常に多い。
しかし「キツネガミ」について、
九本の尾
玉藻前
殺生石
妲己
九尾
などの要素を公式に題材としているという説明は確認できない。
そのため、
「九尾の狐の楽曲」
として分類するのは適切ではない。
狐神と九尾の狐は、どちらも超自然的な狐ではあるが別のモチーフとして扱った方がよい。
実在のキツネを描く歌ではない
「キツネガミ」は、
アカギツネ
ホンドギツネ
キタキツネ
ホッキョクギツネ
など実在する狐の生態を題材とした作品ではない。
曲名自体に「ガミ=神」が付いているため、最初から超自然的・宗教的・怪異的な狐が想定される名称である。
したがって狐関連作品として分類する場合は、
生物としてのキツネ
ではなく、
文化・伝承・創作上の狐
に分類するのが適切である。
「神」であること
タイトルで特に重要なのは、単なる「キツネ」ではなく「キツネガミ」であることである。
狐を題材にした創作では、
化け狐
妖狐
九尾
狐憑き
など、「妖怪・怪異」として描く作品が多い。
しかし「キツネガミ」は、
妖
ではなく
神
を付けている。
つまり名称上は、
人間を化かす怪物
というより、
信仰や畏怖の対象となる狐
を連想させる。
日本の狐文化が持つ、
妖怪としての狐
と
神聖な存在としての狐
という二面性のうち、後者を強く感じさせるタイトルである。
「怖い神」としての狐
日本の伝承における神は、必ずしも人間へ優しく恩恵だけを与える存在ではない。
畏れられる。
祀られる。
怒らせてはいけない。
人間には理解できない価値観を持つ。
という存在でもある。
そのため「キツネガミ」という言葉も、
かわいらしい狐の神様
だけではなく、
人間から見れば恐ろしく理解しがたい狐神
というイメージを持つことができる。
しとおの怪異的な映像・音楽世界とも相性のよい題材である。
ただし、これも日本の神・狐文化から読み取れる作品鑑賞上の背景であり、作者が具体的な宗教観を提示したと断定するものではない。
「狐」と「神」の二面性
狐は日本文化の中で非常に複雑な立場を持つ。
ある物語では、
人間を化かす妖怪。
別の物語では、
人間へ恩を返す動物。
稲荷信仰では、
神の使い。
創作では、
神そのもの。
にもなる。
「キツネガミ」という題名は、その中でも狐を最も神聖な側へ置いた名称である。
ただし「神」であるから善であるとは限らない。
神聖さと怪異性。
美しさと恐ろしさ。
人間に近い姿と、人間とは異なる存在。
そうした曖昧な境界も、狐神というモチーフの魅力となっている。
音楽的同位体と「神」の声
本作では、人間の歌手本人ではなく、人工歌唱ソフトウェア「狐子」が歌う。
狐子は幸祜の歌声をベースにAI技術を利用して制作された歌声である。
つまり、
人間の声を基礎としながら
人間そのものではない声
が「キツネガミ」を歌う。
これは作品設定として公式に意味付けされたものではないが、
人ならざる狐神
×
人間の声から生まれた人工歌唱音声
という組み合わせとして見ると興味深い。
MVも含めた作品
「キツネガミ」は、しとお自身がイラストと映像も担当しているため、MVを含めて作品を見る価値が高い。
しとおは音楽家であると同時に映像・イラストも自ら制作するクリエイターであり、「キツネガミ」でもそのスタイルが貫かれている。
したがって狐の視覚的な表現を紹介する場合は、
楽曲タイトル
歌詞
MV
を一体として扱うのがよい。
ただし、MVの細かな意匠についてしとお自身が設定解説を行った資料は確認できないため、映像から特定の稲荷・妖狐伝承を断定することは避けるべきである。
狐関連楽曲としての位置付け
「キツネガミ」は、狐との関係が題名の段階から明確な合成音声楽曲である。
確認できる特徴を整理すると、
タイトルが「キツネガミ」
狐と神を組み合わせた超自然的な名称
歌唱音源が「狐子(COKO)」
しとお自身が音楽・イラスト・映像を制作
2024年11月8日にMV公開
2024年12月11日にデジタルシングル化
狐子公式のクリエイター作品群にも収録
という要素を持つ。
一方、
稲荷神そのもの
九尾の狐
玉藻前
特定の神社の狐
特定の狐神伝承
を題材にしたという公式説明は確認できない。
したがって「キツネガミ」は、
特定の狐伝説を再話した曲
ではなく、
「狐神」という日本的で神秘的な狐像を用いたオリジナル作品
として位置付けるのが適切である。
さらに、本作を歌うのが「狐子」であることによって、
狐神を歌う狐子
という非常に印象的な構図が生まれている。
ただし狐子そのものは、公式にはバーチャルシンガー・幸祜の歌声を基礎として生まれた人工歌唱ソフトウェアであり、妖狐や狐神として設定された存在ではない。
曲名の狐。
歌唱者名の狐。
怪異的な世界を得意とするしとおの音楽・映像。
この三つが組み合わさることで、「キツネガミ」という一つの人ならざる存在を強く印象付ける作品となっている。