とうほうぷろじぇくと 東方Project
ZUNが主宰する同人サークル「上海アリス幻樂団」を中心に展開されている弾幕シューティングゲームシリーズである。 舞台は、人間や妖怪、神、妖精、幽霊などが暮らす「幻想郷」。作品ごとに異変が発生し、博麗霊夢や霧雨魔理沙をはじめとする登場人物たちがその解決へ向かう。
シリーズ全体が狐を主題としているわけではないが、狐を種族・モチーフとするキャラクターが登場する。
特に代表的なのが、
八雲藍
菅牧典
である。
八雲藍は九本の尾を持つ狐の妖獣、菅牧典は日本の伝承に登場する「管狐」をモチーフとした妖怪であり、それぞれ異なる狐文化がキャラクターへ取り入れられている。
基本情報
タイトル:東方Project
ジャンル:弾幕シューティングを中心としたゲームシリーズ
原作者:ZUN
制作:上海アリス幻樂団
舞台:幻想郷
シリーズには弾幕シューティングだけでなく、対戦型作品や弾幕アクションなども存在する。
狐との関係では、『東方妖々夢 ~ Perfect Cherry Blossom.』で八雲藍、『東方虹龍洞 ~ Unconnected Marketeers.』で菅牧典が初登場している。
八雲藍
読み:やくも らん
英名:Ran Yakumo
『東方妖々夢 ~ Perfect Cherry Blossom.』に登場する狐の妖獣。
八雲紫の式神として行動しており、九本の狐の尾を持つことが大きな特徴である。
資料上でも種族は「狐」とされ、八雲紫の式神として位置付けられている。
東方Projectにおける代表的な狐キャラクターの一人である。
九尾の狐
八雲藍は九本の尾を持つ狐である。
九本の尾を持つ狐は、中国や日本をはじめとする東アジアの伝承で「九尾の狐」として知られる。
長い年月を生き、強大な力を得た狐として描かれることが多く、玉藻前などの伝承とも結び付いてきた。
藍もこの九尾狐のイメージを強く取り入れたキャラクターであり、
狐
九本の尾
妖獣
高い知能
強大な妖力
といった特徴を持つ。
ただし、東方Projectでは伝承上の特定の九尾狐そのものではなく、幻想郷に暮らす独自の狐妖怪として描かれている。
外見
八雲藍は人間の女性に近い姿をしている。
最大の特徴は九本の大きな狐の尻尾である。
狐耳も持つが、原作ゲームでは帽子によって隠れていることが多い。資料でも、帽子の下に狐耳があり、九本の狐の尾を持つ姿として説明されている。
そのため、
人型
狐耳
九本の狐の尾
を持つ妖獣として分類できる。
八雲紫の式神
藍は妖怪の賢者・八雲紫の式神である。
八雲紫は境界を操る強大な妖怪であり、藍はその命令を受けてさまざまな仕事を行う。
「式神」は陰陽道などに見られる使役される霊的存在を元にした概念である。
藍自身も非常に強力な妖獣だが、その藍をさらに式神として使役していることが、紫の規格外の力を示す要素にもなっている。
橙との関係
八雲藍自身も「橙」という妖怪を式神としている。
そのため、
八雲紫
↓
八雲藍
↓
橙
という主従関係が存在する。
藍自身は紫の式神でありながら、自分も式神を使役しているという特殊な立場にある。
狐としての設定だけでなく、「式神」という東洋的な呪術・妖怪文化が重ねられていることも八雲藍の特徴である。
高い知能
八雲藍は非常に頭の良い妖怪として描かれている。
単に力の強い九尾狐ではなく、高度な計算をこなすほどの知能を持つ。
九尾の狐は伝承上でも長寿・知恵・妖力の強さなどと結び付けられることが多く、藍にも「知的な大妖怪」という側面が強く表れている。
東方妖々夢
八雲藍が初登場した作品。
『東方妖々夢 ~ Perfect Cherry Blossom.』では、通常のステージをクリアした後に挑戦できるEXTRAステージのボスとして登場する。
さらにその先にあるPHANTASMステージでは、八雲紫がボスとして登場する。
このため、
EXTRA:八雲藍
PHANTASM:八雲紫
という構成になっており、藍と紫の主従関係がゲーム上でも表現されている。
菅牧典
読み:くだまき つかさ
英名:Tsukasa Kudamaki
『東方虹龍洞 ~ Unconnected Marketeers.』で初登場した狐の妖怪。
種族は「管狐」。
能力は、
「魂の弱い所に入り込む程度の能力」
である。
八雲藍が九尾の大きな狐をモチーフとしているのに対し、典は日本各地の民間伝承に登場する小型の憑き物「管狐」をモチーフとしている。
管狐
管狐は、日本の民間伝承に登場する狐系の憑き物である。
地域によって伝承は異なるが、非常に小さな狐として語られ、竹筒などに入るほど小さい存在として描かれることがある。
東方Projectの菅牧典も明確に「管狐」と設定されている。
管狐は人間へ助言をして一時的に利益をもたらす一方、その助言に従い続けた者が最終的に破滅へ向かうような性質を持つ存在として典の設定へ取り入れられている。
外見
菅牧典は人間の少女に近い姿をしている。
頭部には大きな白い狐耳を持ち、狐を思わせる姿となっている。
公式作品での種族設定が明確に「管狐」であるため、典については単なる狐耳モチーフではなく、
狐の妖怪
管狐
として扱うことができる。
耳元で囁く邪悪な白狐
典には、
「耳元で囁く邪悪な白狐」
という二つ名がある。
白狐という狐そのものを示す言葉が二つ名へ使われており、狐との関係は非常に明確である。
典の性質は、正面から大きな力で相手を倒すというより、
相手へ助言する
心の弱点へ入り込む
対立を煽る
相手を自分に都合のよい方向へ動かす
というものである。
「人を化かす」「人を惑わせる」といった狐の伝承的イメージとも相性のよいキャラクターとなっている。
魂の弱い所に入り込む程度の能力
菅牧典の能力。
相手の精神的な弱点へ入り込み、その心へ影響を与える能力である。
典はこの能力や巧みな話術を利用して他者へ取り入り、状況を混乱させる。
これは直接的な攻撃能力というより、人間関係や心理へ働きかける力である。
管狐の伝承にある、
人間へ助言する
利益を与える
最終的に破滅へ導く
という性質を、東方Project独自の能力として表現したものと見ることができる。
飯綱丸龍との関係
菅牧典は大天狗・飯綱丸龍の部下として活動している。
龍の使者として各所との交渉などを担当し、情報収集にも関わる。
典は表向きには龍へ従っているが、自分自身の利益も考えながら行動する抜け目のない人物として描かれている。
狐の狡猾さを思わせるキャラクター性が、管狐という種族設定と組み合わされている。
東方虹龍洞
菅牧典が初登場した作品。
『東方虹龍洞 ~ Unconnected Marketeers.』では、
5面道中
6面道中
EXTRAステージ道中
など複数の場面で登場する。
特定ステージのボスとして一度だけ登場するのではなく、物語の裏側で複数の人物へ接触し、それぞれを動かしている。
これは典の「他者へ入り込んで状況を動かす」という能力・性格とも一致している。
東方獣王園
菅牧典は後に『東方獣王園 ~ Unfinished Dream of All Living Ghost.』にも登場する。
同作では自機として使用できるキャラクターの一人となった。
そのため、狐キャラクターである典を実際に操作して弾幕戦を行うこともできる。
八雲藍と菅牧典の違い
八雲藍と菅牧典は、どちらも東方Projectに登場する狐の妖怪である。
しかし、元となった狐文化は大きく異なる。
八雲藍
→九尾の狐をモチーフとした強大な妖獣
菅牧典
→日本の憑き物伝承に登場する管狐
である。
八雲藍では、
九本の尾
強大な妖力
高い知能
式神
といった「高位の狐」の要素が強い。
一方の菅牧典では、
管狐
憑き物
他者への助言
精神的な弱点への侵入
人を破滅へ導く
といった、小さな狐・憑き物としての性質が中心となっている。
同じ狐でも、異なる伝承を基にしたキャラクターとして描き分けられている点が特徴である。
狐と妖怪
東方Projectでは狐は「妖怪」の一種として登場する。
八雲藍は狐の妖獣、菅牧典は管狐の妖怪である。
そのため、
狐耳を持つ人型種族
というだけではなく、
日本や東アジアの狐妖怪・狐伝承
を元にキャラクター化されている。
特に、
九尾の狐
管狐
式神
憑き物
人を惑わせる狐
など、狐文化の異なる側面が別々のキャラクターへ取り入れられている。
狐との関係性
『東方Project』そのものは狐を主題としたゲームシリーズではない。
しかし狐に関しては、単なる動物モチーフではなく、伝承上の狐妖怪がキャラクター化されている。
八雲藍は、
種族が狐
九本の狐の尾を持つ
狐耳を持つ
九尾狐を思わせる
式神として活動する
という特徴を持つ。
菅牧典は、
種族が管狐
白狐として描かれる
「魂の弱い所に入り込む程度の能力」を持つ
人間へ利益を与えつつ破滅させる管狐伝承を反映している
という特徴を持つ。
このため東方Projectは、
「九尾の狐」と「管狐」という異なる日本・東アジアの狐文化を、別々の妖怪キャラクターとして登場させている作品
と位置付けることができる。
主な狐関連キャラクター
八雲藍
→『東方妖々夢』初登場。八雲紫の式神である狐の妖獣。九本の尾を持つ。
菅牧典
→『東方虹龍洞』初登場。種族は管狐。「魂の弱い所に入り込む程度の能力」を持つ。
まとめ
『東方Project』では、八雲藍と菅牧典という二人の代表的な狐妖怪が登場する。
八雲藍は九本の尾を持つ強大な狐の妖獣であり、八雲紫の式神として活動する。一方、菅牧典は日本の憑き物伝承に由来する管狐であり、他者の心の弱点へ入り込んで状況を動かす。
「九尾の狐」と「管狐」という性質の異なる狐伝承をそれぞれキャラクター化していることが、東方Projectにおける狐表現の大きな特徴である。