きつね/ぞろ KITSUNE/ゾロ
「KITSUNE」は、日本のヴィジュアル系ロックバンド・ゾロによる楽曲である。2008年8月20日にDanger Crue Recordsから発売された1stフルアルバム『COSMO-ステンレスミュージック-』に収録され、初回限定盤・通常盤ともに2曲目に配置されている。作詞はボーカルの龍寺、作曲はベースのたつひが担当した。 Apple Musicでは楽曲時間4分39秒、アルバムジャンルはロックとして登録されている。初回限定盤には「KITSUNE」のミュージックビデオを収録したDVDも付属しており、アルバムの中でも映像作品が制作された重要曲であったことが分かる。 題名は日本語の「狐」をローマ字にした「KITSUNE」である。しかし公開されている歌詞では、狐、妖狐、稲荷、狐火、狐面、九尾など、狐を直接示す言葉は確認できない。歌われているのは、ゾロというバンドと観客が一緒により高い場所を目指し、他にはない独自の存在を作り上げたいという意思である。 そのため本作は、動物としてのキツネや狐伝承を描いた楽曲ではなく、「KITSUNE」という狐の名を冠したバンドの自己表明・決意表明的な楽曲として位置付けるのが適切である。
基本情報
タイトル:KITSUNE
アーティスト:ゾロ
作詞:龍寺
作曲:たつひ
収録アルバム:COSMO-ステンレスミュージック-
発売日:2008年8月20日
収録順:2曲目
楽曲時間:4分39秒
ジャンル:ロック
レーベル:Danger Crue Records
国:日本
初回限定盤の品番はDCCB-9006、通常盤はDCCB-6である。初回限定盤はCD10曲+DVD、通常盤はボーナストラックを含むCD12曲という構成で発売された。
楽曲について
「KITSUNE」は、バンド自身とファン・観客との関係を歌った楽曲である。
歌詞では、自分たちのいる場所には多くの個性や可能性が眠っており、それを目覚めさせたいという意思が示される。そしてゾロの4人だけでは到達できない高い場所へ、観客と一緒に進みたいという内容へ展開する。
中心となるのは、
自分たちだけで満足しない
より高い場所を目指す
ファンの声を力にする
他にはない特別な存在を作る
一緒に進んでいく
というテーマである。
恋愛や物語を描く曲ではなく、バンド活動そのものについて歌ったメッセージソングとしての性格が強い。
キツネとの関係
本作におけるキツネとの確実な関係は、曲名「KITSUNE」である。
「KITSUNE」は日本語の「キツネ」をそのままアルファベット表記したものだが、歌詞本文には狐そのものは登場しない。
確認できる範囲では、
キツネの姿
鳴き声
尻尾
狐面
妖狐
九尾の狐
稲荷信仰
狐火
狐の嫁入り
化かす
といった典型的な狐表現も歌詞には存在しない。
したがって、
「狐を主人公にした楽曲」
「妖狐を描いた楽曲」
「狐伝承を題材にした楽曲」
と分類することはできない。
ふぉくすなっ♪では、
「タイトルに狐が使用されている楽曲」
として扱うのが最も正確である。
なぜ「KITSUNE」なのか
曲名がなぜ「KITSUNE」なのかについて、龍寺やたつひが明確に説明した一次資料は今回確認できなかった。
そのため、
狡猾な狐を表している
ファンを化かすバンドを意味する
ゾロのメンバー自身を狐に見立てている
狐のように独自の道を進むという意味
などを公式な解釈として記載することはできない。
一方、歌詞には「異質な別枠」を作りたいという趣旨があり、既存の枠へ収まらず独自の存在を目指す意志が強く表れている。
その独自性を示す象徴として「KITSUNE」という題名が選ばれた可能性を考えることはできるものの、作者本人の説明がない以上、あくまで推測に留める必要がある。
「異質な別枠」
「KITSUNE」の歌詞を理解するうえで重要なのが、「他とは異なる存在を作りたい」という意思である。
ゾロは単に人気を得たいと歌っているのではない。
自分たちだけの特殊な場所。
ほかには存在しないもの。
既存のバンドとは違う何か。
を作ろうとしている。
そのため本曲は、ゾロというバンドの方向性を宣言するような内容を持つ。
狐という題名にも、日本文化で狐が持つ「普通の動物とは少し異なる、不思議で特殊な存在」という印象を重ねて読む余地はある。
ただし、この関係を龍寺本人が明言した資料は確認できない。
ファンと一緒に作る「梯子」
歌詞では、高い場所へ登るための「梯子」が象徴的に用いられている。
その梯子はゾロの4人だけでは完成しない。
観客やファンも一緒になって作り、より高い場所へ登る。
という考え方が示される。
つまり、
バンド
+
ファン
によって初めてゾロという存在が完成する。
「KITSUNE」は、メンバーから一方的に音楽を届けるというより、観客にも参加を求める楽曲である。
「声の力」
歌詞では、ステージに立つ自分たちだけでは不可能であり、観客の「声」を貸してほしいという内容も描かれる。
これはライブを強く意識した表現である。
観客が声を上げる。
バンドが演奏する。
互いのエネルギーが合わさる。
その結果、ライブという空間が完成する。
そのため「KITSUNE」は、音源だけで完結するよりもライブで観客と共有することを想定したメッセージを持つ作品といえる。
ゾロ自身を歌った曲
歌詞には具体的な主人公や架空の物語はほぼ存在しない。
「僕達」と「みんな」が中心である。
「僕達」はステージに立つゾロ。
「みんな」は観客やファン。
と読むのが自然である。
したがって本曲は、
狐について歌う曲
ではなく、
「ゾロ自身について歌った曲にKITSUNEという名前が付いている」
という構造になっている。
狐サイトで取り上げる際には、この違いを明記しておくと誤解が少ない。
キツネは比喩なのか
「狐」という言葉は、人間を形容する比喩として使用されることもある。
例えば、
狡猾
機転が利く
本心を見せない
人を化かす
といったイメージである。
しかし「KITSUNE」の歌詞では、そうした狐的性格は明確には描かれていない。
むしろ内容は、
仲間と進む
ファンと協力する
高みを目指す
期待に応えたい
という前向きなものになっている。
したがって「狡猾な人物=狐」という一般的な比喩を、この楽曲へそのまま当てはめる根拠はない。
妖狐との関係
「KITSUNE」という題名から妖狐を連想することもできる。
しかし歌詞には、
妖術
変化
狐火
九尾
神通力
人間を化かす
といった妖狐を示す描写は確認できない。
そのため、
妖狐ソング
として分類するのは適切ではない。
狐という単語をタイトルに持つという意味では狐関連曲だが、その狐が「妖狐」であるとは確認できない。
稲荷信仰との関係
同様に、
神社
鳥居
稲荷
白狐
油揚げ
など、稲荷信仰を示す内容も歌詞には存在しない。
したがって稲荷神や神狐をテーマとした作品ではない。
「KITSUNE」という日本語名を使用していること以上に、宗教的な狐文化との直接的な関係は確認できない。
ミュージックビデオ
「KITSUNE」にはミュージックビデオが制作されている。
Danger Crue Records公式ディスコグラフィーでは、2008年8月20日発売の『COSMO-ステンレスミュージック-』初回限定盤に「KITSUNE」PVを収録したDVDが付属したことが確認できる。
またDanger Crue Records/MAVERICK DC GROUP系のYouTubeにも「ゾロ (ZORO)『KITSUNE』」として映像が公開されている。
つまり「KITSUNE」はアルバム収録曲でありながら、映像作品も制作された楽曲である。
「KITSUNE」が映像化された意味
『COSMO-ステンレスミュージック-』初回限定盤のDVDに収録されたPVは「KITSUNE」一曲のみである。
そのため、アルバム制作時に本曲が特に映像展開される楽曲として選ばれたことは確かである。
通常盤では全12曲。
初回限定盤では全10曲に加えて「KITSUNE」PV。
という構成であった。
アルバムの象徴的な一曲として扱われていたことがうかがえる。
『COSMO-ステンレスミュージック-』
「KITSUNE」が収録された『COSMO-ステンレスミュージック-』は、2008年8月20日にDanger Crue Recordsから発売されたゾロのフルアルバムである。
通常盤は全12曲、48分。Apple Musicではロック作品として配信されている。
通常盤の収録曲は、
- Yellow Berry
- KITSUNE
- ロンド-N12-
- プラトニックデカダンス
- 脳にカルキ
- ノイローゼディスコ
- COSMO「S」フューチャー
- RIOT
- パノラマHOP
- サイケ★タイガー
- 核・再び・連鎖
- 雨ライフ
となっている。
初回限定盤
初回限定盤も2008年8月20日に発売された。
品番はDCCB-9006。
CDは全10曲で、DVDに「KITSUNE」のPVが収録された。
通常盤とは一部曲順が異なり、通常盤限定のボーナストラックも存在する。
「KITSUNE」はどちらの仕様でも2曲目である。
4分39秒
Apple Musicでは「KITSUNE」の再生時間は4分39秒とされている。
Amazon Musicでは4分40秒表記となっており、サービス上の秒数処理によって1秒の差がある。
記事上ではApple Musicに合わせ、
約4分39秒
としておけばよい。
作詞・龍寺
作詞を担当したのは、ゾロのボーカル・龍寺である。歌ネットでも作詞者として龍寺が登録されている。
VISUNAVIのアーカイブプロフィールでは、龍寺について、独特なファッションセンスと自由な感性による歌詞に加え、ゾロのアートワークも手掛ける人物として紹介されている。
「KITSUNE」でも、
個性
可能性
異質な別枠
他にはない特別な存在
という言葉を通して、ゾロの独自性を強く打ち出している。
作曲・たつひ
作曲はたつひが担当した。
歌ネットでは、
作詞:龍寺
作曲:たつひ
と明記されている。
当時のゾロは、龍寺、タイゾ、たつひ、裕哉の4人編成で活動していた。現在もゾロは活動しており、2026年時点の公式SNSでは龍寺とたつひを中心とする活動情報が発信されている。
ゾロについて
ゾロは日本のヴィジュアル系ロックバンドである。
2008年には『COSMO-ステンレスミュージック-』、2009年には『CORE』、2010年には『KIGA』などをDanger Crue Recordsから発表した。公式レーベルページでもこれらの作品が現在確認できる。
Apple Musicでは現在も「KITSUNE」がゾロのトップソングの一つとして掲載されている。
Spotifyでもゾロの人気楽曲として「KITSUNE」が表示されている。
2008年の初期作品でありながら、現在のストリーミング環境でもゾロを代表する楽曲の一つとして残っていることが分かる。
狐関連楽曲としての位置付け
「KITSUNE」は、狐サイトで扱う際には少し注意が必要な作品である。
確認できる狐要素は、
タイトルが「KITSUNE」
という点である。
一方、公開歌詞には、
実在のキツネ
妖狐
九尾の狐
稲荷
狐面
狐火
狐の嫁入り
「コンコン」などの狐の鳴き声
といった直接的な狐表現は見当たらない。
歌詞の中心は、ゾロ自身の活動と観客との関係である。
自分たちだけでは高い場所へ登れない。
ファンの声を借りたい。
他にはない特別な存在を作りたい。
そして一緒により高い場所へ進みたい。
という、バンドの決意表明が描かれている。
なぜその楽曲へ「KITSUNE」という名前が付けられたのかについて、作者による明確な説明は確認できない。
そのため、
「ゾロを狐に見立てた曲」
「人を化かす狐のようなバンドを表現した曲」
などと断定するのは避ける必要がある。
狐関連作品としての分類は、
「タイトルに狐を使用した楽曲」
が最も適切である。
一方で、アルバム『COSMO-ステンレスミュージック-』では唯一PVがDVDに収録された曲であり、現在もApple MusicやSpotifyでゾロの主要曲として表示されるなど、バンド初期を代表する存在となっている。
狐そのものを歌ってはいない。
それでも「KITSUNE」という非常に印象的な日本語を曲名へ掲げたことで、狐の名前をヴィジュアル系ロックの世界へ持ち込んだ一曲として記録できる作品である。