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きつねものがたりだいいちしへんこうていろんこう 「狐物語」第1枝篇校訂論考

中世フランス文学の代表作である『狐物語(Roman de Renart)』**の第1枝篇(Branche I)の本文を、現存する写本をもとに比較・校訂した研究である。 著者は福本直之で、本論文は1972年に発表された。パリ国立図書館所蔵写本(BnF Français 1579)を中心に、本文の異同や写本の系統を詳細に検討し、より原形に近い本文の復元を目指している。

論文の概要

『狐物語』は、12~13世紀のフランスで成立した動物叙事詩群であり、主人公の狐ルナール(Renart)が、狼イザングランをはじめとする動物たちを知恵で翻弄する物語として知られている。

本論文では、その中でも物語の導入部にあたる第1枝篇を対象とし、複数の写本を比較しながら本文を校訂している。単なる翻訳や解説ではなく、どの表現が原文に近いかを検証する文献学的研究である。

主な研究内容

1. 『狐物語』とは

『狐物語』は、一人の作者によって書かれた長編小説ではなく、複数の作者が異なる時代に執筆した「枝篇(ブランシュ)」と呼ばれる物語群から構成されている。

そのため、写本ごとに本文や語句、物語の順序が異なっており、どの本文を採用するかが研究上の重要な課題となっている。

2. 校訂とは何か

論文の中心テーマである校訂とは、複数の写本を比較し、誤写や後世の改変を検討しながら、原作者に最も近い本文を復元する作業である。

著者は写本間の異同を細かく比較し、語句や綴り、文法などを検証することで、第1枝篇の信頼できる本文の提示を試みている。

3. 写本の比較

論文では、パリ国立図書館所蔵の写本を中心資料とし、他の写本との比較を通じて、それぞれの特徴や系統関係を分析している。

写本によっては語句の脱落や追加、表現の違いが見られるため、それらを整理することで、『狐物語』がどのように伝承されてきたのかも明らかにしている。

4. 『狐物語』研究への貢献

本論文は、第1枝篇の校訂だけでなく、その後の『狐物語』研究の基礎資料としても重要な役割を果たしている。

後年には他の枝篇についても校訂研究が進められ、第9枝篇やB写本を対象とした研究へと発展している。

この論文の見どころ

本論文の特徴は、『狐物語』の内容を解説するのではなく、「どの本文が最も原作に近いのか」という文献学の視点から研究している点である。

この論文の見どころ

中世ヨーロッパでは印刷技術が普及する以前、作品は写本によって伝えられていたため、同じ作品でも本文が少しずつ異なっていた。本研究は、その違いを丹念に比較し、『狐物語』の成立や伝承の過程を解明する重要な基礎研究となっている。

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https://www.jstage.jst.go.jp/article/ellf/21/0/21_KJ00002503410/_article/-char/ja/