すぴりっとおぶざのーす Spirit of the North
狐となって北方の大自然や古代文明の遺跡を旅する3Dアドベンチャーゲームである。 Infuse Studioが開発し、2019年11月1日にPlayStation 4版が発売された。その後、PCやNintendo Switchなどにも展開されている。Nintendo Switch版およびSteam版は2020年5月7日に発売された。 主人公は特別な戦士や人間ではなく、一匹のアカギツネである。 プレイヤーは狐を直接操作し、雪原、山岳地帯、森林、洞窟、古代文明の遺跡などを探索する。その旅の中で、オーロラを守護する不思議な雌の「精霊の狐」と出会い、荒廃した土地に残された謎へ近づいていく。 ゲームには意図的に台詞やナレーションがほとんど用意されておらず、風景、遺跡、環境の変化、狐たちの行動などから、そこで何が起きたのかをプレイヤー自身が読み取っていくことが大きな特徴である。
基本情報
タイトル:Spirit of the North
開発:Infuse Studio
ジャンル:3Dアドベンチャー
初回発売日:2019年11月1日
初回対応機種:PlayStation 4
対応機種:PlayStation 4、PlayStation 5、Nintendo Switch、PCなど
本作はアイスランドの壮大で神秘的な景観から着想を得ており、物語には北欧の民間伝承をモチーフとした要素が取り入れられている。
ゲーム概要
プレイヤーが操作するのは、一匹の普通のアカギツネである。
広大な自然の中を走り、跳び、泳ぎ、ときには狭い場所を通り抜けながら先へ進んでいく。
一般的なアクションゲームのように大量の敵を倒して進む作品ではなく、探索とパズルを中心として構成されている。
道が途切れている場所では周囲を探索して進路を探し、遺跡に残された仕掛けを解きながら土地の奥へ進んでいく。
旅の途中で主人公の狐は不思議な精霊の狐と出会う。
この出会いをきっかけとして主人公の旅は、単に自然の中を移動するものから、荒廃した土地や失われた文明、そして精霊の狐にまつわる謎へとつながっていく。
物語
物語の主人公となるアカギツネは、北方の雪原を旅している。
空には赤く染まった異様な光が広がり、周囲には人々が暮らしていたと思われる遺跡が残されている。
旅を続ける中で狐は、不思議な力を持つ精霊の狐と遭遇する。
この精霊はオーロラの守護者とされる存在であり、主人公の狐は彼女との出会いによって荒廃した土地に残された出来事へ関わることになる。
ただし、本作ではキャラクターが言葉を使って事情を説明することはない。
「この世界で何が起こったのか」
「なぜ土地は荒廃しているのか」
「精霊の狐は何者なのか」
といった疑問について、プレイヤーは遺跡や景色、残された人々の痕跡、精霊の行動などから推測していく。
この「言葉ではなく環境から物語を読み取る」という構成は、『Spirit of the North』を特徴づける重要な要素である。
主人公の狐
本作の主人公は、一匹のアカギツネである。
固有の名前を持つ人間型キャラクターではなく、四足歩行する動物としての狐そのものが主人公となっている。
『スターフォックス』のフォックス・マクラウドや、『狐が僕を待っている』のシュアのような擬人化された狐とは大きく異なる。
外見も現実のアカギツネを思わせるもので、
橙色から赤褐色の毛並み
白い胸元や腹部
大きな三角形の耳
細長い口吻
長く豊かな尾
といった狐らしい特徴が表現されている。
狐の動き
狐を直接操作するゲームであるため、プレイヤーが狐の姿を見る時間は非常に長い。
走る
歩く
跳ぶ
泳ぐ
斜面を登る
狭い場所を通る
周囲を見回す
といった動作をしながら自然の中を探索する。
戦闘を中心とする作品ではないため、「強力な狐キャラクターで敵を倒す」というよりも、「一匹の狐として世界を歩き回ること」そのものがゲーム体験の中心となっている。
その意味では、動物としての狐を扱ったゲームの中でも、狐らしい姿や移動を長時間眺められる作品である。
精霊の狐
主人公とは別に、本作には重要な狐がもう一匹登場する。
オーロラを守護する雌の「精霊の狐」である。
普通の動物である主人公のアカギツネとは異なり、神秘的な存在として描かれている。
主人公はこの精霊の狐と関わることによって不思議な力を得ながら、世界に残された謎へ近づいていく。公式の作品紹介でも、主人公のアカギツネの物語が「guardian of the Northern Lights」である精霊の狐と結び付いていくことが、本作の中心として紹介されている。
したがって本作には、
動物としての狐
精霊としての狐
という二つの異なる狐の姿が登場する。
これは『Spirit of the North』における特徴的な狐表現の一つである。
狐とオーロラ
『Spirit of the North』では、狐とオーロラが強く結び付けられている。
開発者は制作時の着想について、動物を主人公にすることを決めた後、狐が尾を何かに触れさせることでオーロラを生み出すという北方の狐にまつわる伝承を思い出し、それが作品に適していると考えたことを語っている。
そのため、本作に狐が採用されているのは単に「かわいい動物だから」というだけではない。
狐とオーロラを結び付ける伝承が、作品の世界観や精霊の狐という存在にもつながっている。
日本では狐というと、
稲荷信仰
妖狐
九尾の狐
狐火
化け狐
などを連想することが多いが、『Spirit of the North』ではそれらとは異なる北方文化圏の狐のイメージが使われている。
「世界の狐文化を扱う作品」という観点から見ても興味深いゲームである。
狐との関係性
『Spirit of the North』は、狐が少し登場するゲームではない。
主人公そのものが狐であり、
プレイヤーが操作する存在
物語を進める存在
世界を探索する存在
のすべてが狐である。
さらに、物語上重要な存在として精霊の狐も登場する。
そのため狐との関係の強さは非常に高い。
ゲーム全体を、
「一匹の狐が、もう一匹の神秘的な狐と出会い、北方の荒廃した世界を旅する物語」
と捉えることもできる。
狐を別の動物に置き換えても成立する程度のデザインではなく、狐とオーロラを結び付けた文化的モチーフまで作品の根幹に組み込まれている点が特徴である。
狐好きから見たSpirit of the North
狐を目的としてゲームを探している場合、本作は特に相性のよい作品である。
最大の理由は、人間化・擬人化されていない四足歩行の狐を直接操作できることである。
ゲームの大部分で狐の後ろ姿を見ながら移動するため、
狐が雪原を走る姿
草原を歩く姿
岩場を跳び越える姿
水の中を泳ぐ姿
尻尾を揺らしながら探索する姿
などを楽しむことができる。
また、自然風景を重視したゲームなので、野生の狐が自然の中を旅しているような雰囲気も強い。
一方、リアルなキツネ飼育シミュレーションや生態シミュレーションではない。
精霊や古代文明、超自然的な力などを含むファンタジー作品であるため、
「現実の狐そのものを再現したゲーム」
というより、
「動物としての狐を主人公にした幻想的な冒険」
として考えるのが適切である。
シリーズ
『Spirit of the North』には正式な続編が存在する。
Spirit of the North 2
発売日:2025年5月8日
開発:Infuse Studio
発売:Silver Lining Interactive
対応機種:PlayStation 5、Xbox Series X|S、PC
ジャンル:3Dアドベンチャー
2025年5月8日に発売された『Spirit of the North』の続編。
本作でも主人公は狐である。
古代の世界で故郷から遠く離れてしまった一匹の狐が、知恵を持つカラスを仲間として旅をする。
目的は、闇のシャーマン「Grimnir」に捕らわれた伝説の守護獣たちを解放し、故郷へ帰ることである。
主人公の狐
続編でも四足歩行の狐をプレイヤー自身が操作する。
ただし前作との大きな違いとして、狐の外見をカスタマイズできるようになった。
毛並みなどを変更して自分の狐を作ることができ、ゲームを進めることで能力も成長させられる。公式説明でも「Create your own unique fox」として、外見と能力をカスタマイズできることが特徴として挙げられている。
狐好きという観点では非常に大きな追加要素である。
前作では用意されたアカギツネを操作したのに対し、続編ではプレイヤー自身が好みの狐を作って冒険できるようになった。
カラス
続編では、一匹のカラスが狐の旅の仲間となる。
カラスは主人公を助けながら、失われた守護獣を探す旅に同行する。
狐そのものではないが、主人公と常に近い立場で冒険する存在であるため、狐との関係を理解するうえでは重要なキャラクターである。
守護獣
世界には伝説的な守護獣たちが存在している。
彼らは闇のシャーマンGrimnirの力によって汚染されており、主人公の狐は各地を巡って守護獣を救っていく。
単純に敵を倒す戦闘というより、パズル的な仕掛けを含んだ対峙を通して守護獣を浄化していく構成が特徴となっている。
オープンワールド
前作よりも探索の自由度が大幅に拡大されている。
広大なオープンワールドを自由に歩き回ることができ、
森林
雪山
古代の墓所
さまざまな自然環境
などを狐として探索する。
また、世界各地でルーンを入手することで狐の能力を強化し、新しい能力を利用して、それまで進めなかった場所へ向かうこともできる。
シリーズと狐
『Spirit of the North』シリーズは、2作品とも一貫して狐そのものを主人公としている。
第1作では、
一匹のアカギツネ
↓
精霊の狐との出会い
↓
荒廃した世界と失われた文明の謎をたどる
という構成である。
『Spirit of the North 2』では、
一匹の狐
↓
カラスと旅をする
↓
広大な世界を探索する
↓
失われた守護獣を救う
という、より大規模な冒険へ発展した。
第1作は「狐と精霊の狐との関係」や静かな旅が特に重要であり、第2作では「自分だけの狐を作って広大な世界を冒険する」というゲームとしての狐体験が強化されている。
シリーズを通して、
人型ではない狐を主人公にする
狐自身をプレイヤーが操作する
狐と北方の自然・伝承を結び付ける
言葉に頼らず動物と風景から物語を描く
という特徴が共通している。
擬人化された狐キャラクターではなく、「四足歩行する狐そのものが主人公のゲーム」を探す場合には、特に代表的なシリーズの一つである。