ざ ふぉっくす/いぎりすみんよう The Fox/イギリス民謡

イギリスに古くから伝わる伝統的な民謡である。 キツネが夜に町へ向かい、ガチョウやアヒルなどを捕らえて家族のもとへ持ち帰る物語を歌った楽曲である。 非常に長い歴史を持つ作品で、現在につながる原型は15世紀の中英語で書かれた作品まで遡ることができる。作者や作曲者を特定できない伝承歌であり、長い年月の中でさまざまな歌手によって歌い継がれてきた。

基本情報

タイトル:The Fox
別名:The Fox Went Out on a Chilly Night など
種類:民謡・伝承歌
発祥:イングランド
成立:少なくとも15世紀まで遡る
作者:不明
Roud Folk Song Index:131

長い歴史の中で多数の歌手によって録音されており、Pete Seeger、Harry Belafonte、Burl Ives、Peter, Paul and Mary、Nickel Creekなど、多くのアーティストによる歌唱版が存在する。

楽曲について

物語の主人公は一匹のキツネである。

夜になったキツネは食べ物を求めて町へ向かい、ガチョウやアヒルなどがいる場所へ忍び込む。そこで獲物を捕らえ、自分を待っている家族のもとへ持ち帰るという物語が展開される。

現代のバージョンでは、寒い夜に月明かりを頼りにキツネが町へ向かう場面から始まることが多い。

最後にはキツネが捕らえた獲物を家族とともに食べる様子が描かれ、キツネの「狩りから帰宅するまで」を一つの物語として歌った民謡となっている。

キツネとの関係

本作はタイトルだけでなく、物語全体の主人公がキツネである。

描かれているのは、人間に化けたり魔法を使ったりする妖狐ではなく、家禽を狩る動物としてのキツネである。

ヨーロッパでは古くから、キツネは農村で飼われているニワトリやガチョウなどを狙う動物として身近な存在であった。そのため昔話や民謡でも、家禽小屋へ忍び込む狡猾な捕食者として登場することが多い。

「The Fox」でもそのイメージが色濃く表れており、キツネが夜の闇に紛れて人間の暮らす場所へ近づき、鳥を捕らえて逃げる様子が描かれている。

一方で、捕らえた獲物を自分だけで食べるのではなく、家族の待つ巣へ持ち帰るという描写も特徴である。そのため単なる「家禽泥棒」としてではなく、家族を養うために狩りをするキツネとしても描かれている。

長く歌い継がれてきたキツネの歌

「The Fox」は、現代まで残るキツネを主人公とした歌の中でも特に歴史が古い作品である。

15世紀にまで遡る関連作品が確認され、その後何世紀にもわたって歌詞や題名を変化させながら伝承されてきた。

1961年にはPeter Spierがこの歌をもとにした絵本『The Fox Went Out on a Chilly Night: An Old Song』を制作しており、翌1962年にはコールデコット・オナーを受賞している。

音楽だけでなく絵本などにも展開されながら受け継がれてきた、英語圏を代表するキツネの伝承歌の一つである。

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