すりー もあ ふぉくしず/めいなーど ふぁーがそん Three More Foxes/Maynard Ferguson

「Three More Foxes」は、ジャズ・トランペット奏者Maynard Fergusonのオーケストラによって演奏されたインストゥルメンタル曲である。 作曲・編曲は、当時Maynard Ferguson Orchestraのテナーサックス奏者・アレンジャーとして活動していたWillie Maidenが担当した。AllMusicでも「Three More Foxes」の作曲者をWillie Maidenとして掲載している。 確認できる初期の録音として、1959年6月17日にニューヨークのジャズクラブBirdlandで行われたライブ演奏が存在する。この演奏はアルバム『A Message From Birdland』に収録された。ワーナーミュージック・ジャパンも同作を「1959年6月17日ニューヨーク『バードランド』でのライヴ録音」として紹介し、「Three More Foxes」を8曲目に掲載している。 さらに1960年にはスタジオアルバム『Newport Suite』にも収録された。同作ではアルバム最後の7曲目に配置されており、こちらもWillie Maiden作曲の作品としてクレジットされている。 タイトルを直訳すると「さらに3匹の狐」となるが、この“Foxes”は実際の狐を指しているわけではない。 1959年のBirdlandでの演奏について残された解説では、この曲はJerry Tyree、Don Ellis、Maynard Fergusonという3人のトランペット奏者が次々にソロを取る「trumpet joust」とされている。さらにTyreeとEllisについて“foxes”という言葉が実際に使われている。

基本情報

曲名:Three More Foxes

アーティスト:Maynard Ferguson

作曲:Willie Maiden

編曲:Willie Maiden

形式:インストゥルメンタル

ジャンル:ジャズ、ビッグバンド、ハード・バップ系

初期ライブ録音:1959年6月17日

録音場所:Birdland、ニューヨーク

初期収録アルバム:『A Message From Birdland』

同アルバム曲順:8曲目

スタジオ収録アルバム:『Newport Suite』

スタジオ版発売年:1960年

『Newport Suite』曲順:7曲目

スタジオ版レーベル:Roulette

国:アメリカ

作曲者Willie MaidenはMaynard Ferguson Orchestraでテナーサックスを担当すると同時に、作曲・編曲でも重要な役割を担っていた。「Three More Foxes」についても、ディスコグラフィー資料では作曲・編曲ともWillie Maidenとして確認できる。

初期の1959年ライブ版

「Three More Foxes」の重要な録音の一つが、1959年6月17日のBirdland公演である。

ワーナーミュージック・ジャパンによる『A Message From Birdland』の公式紹介では、

録音:1959年6月17日
場所:Birdland、ニューヨーク
曲順:8曲目

として「Three More Foxes」が掲載されている。

この演奏についての解説では、曲は3人のトランペット奏者による競演として構成されている。

その3人は、

Jerry Tyree
Don Ellis
Maynard Ferguson

である。

曲は3人が互いに技量を示すようにソロを取っていく構成を持つ。

ただし、単純な勝敗を競う「切り合い」ではなく、それぞれの演奏能力を見せるための舞台としてアレンジされていると説明されている。

Maynard Ferguson自身がバンドリーダーであり主要ソリストでもあるが、他のトランペット奏者にも十分なソロの機会を与え、バンド全体を個々の才能を見せる場所として機能させていた。

1960年の『Newport Suite』版

「Three More Foxes」は1960年のスタジオアルバム『Newport Suite』にも収録された。

AllMusicでは同アルバムの7曲目として掲載され、作曲者をWillie Maidenとしている。

このスタジオ版では、Maynard Fergusonを中心としたビッグバンドによる演奏となっている。

主な参加メンバーとして、

Maynard Ferguson:トランペット、バルブトロンボーン、バリトンホルン
Don Ellis:トランペット
Chet Ferretti:トランペット
Rick Kiefer:トランペット
Jimmy Ford:アルトサックス
Joe Farrell:テナーサックス
Willie Maiden:テナーサックス
Frank Hittner:バリトンサックス
Jaki Byard:ピアノ
Aubrey Tobin:ベース
Stu Martin:ドラム

などが確認できる。

AllMusicはこのスタジオ版について、3人のトランペット奏者が交互にソロを取るアップテンポのブルースとして紹介している。

1959年のライブ版と参加メンバーは完全には同一ではないため、「Three More Foxes」という題名が常に特定の3人だけを固定的に指しているわけではない点には注意が必要である。

基本的には「3人のトランペット奏者をフィーチャーする楽曲」という構造が中心にある。

1964年の再録音

「Three More Foxes」は、その後もMaynard Fergusonのレパートリーとして演奏された。

1964年録音のアルバム『Color Him Wild』にも再録音されており、同作は後に『Dues』という題名でも発売された。

『Color Him Wild』では、

Airegin
Macarena
Green Dolphin Street
People
This Night
The Lady's in Love
Tinsel
Three More Foxes
Come Rain or Come Shine

という曲順で、「Three More Foxes」は8曲目に配置されている。

Maynard Ferguson公式Bandcamp上の『Dues』では、1972年発売表記の音源として「Three More Foxes」が8曲目、6分56秒で配信されている。

つまり「Three More Foxes」は一度だけ録音された曲ではなく、Fergusonが異なる時期のバンドでも取り上げたレパートリーである。

楽曲について

「Three More Foxes」は歌詞を持たないインストゥルメンタル・ジャズである。

したがって、

狐が登場する物語
狐について歌う歌詞
狐の鳴き声を表現した歌詞
狐の生態描写

などは存在しない。

楽曲の中心はトランペット奏者たちの演奏である。

特に1959年のBirdland版については、3人のトランペット奏者による競演が曲の重要な特徴となっている。

ジャズには複数の奏者が順番にソロを取り、互いの技量を刺激し合う「cutting contest」と呼ばれる文化がある。

「Three More Foxes」もそのような雰囲気を持つが、演奏を説明した資料では、単なる競争ではなく、それぞれの演奏者の個性や能力を引き出すための構成だったとされている。

タイトルの「Foxes」とは何か

狐サイトとして最も重要なのが、この曲名にある“Foxes”の意味である。

通常、

fox=狐
foxes=狐たち

である。

そのためタイトルだけを見ると、

「さらに3匹の狐」

という意味に見える。

しかし、本曲については実在する狐は関係していない。

1959年のBirdland公演を解説した資料では、「Three More Foxes」をJerry Tyree、Don Ellis、Maynard Fergusonによるトランペットの競演として説明し、TyreeとEllisについて明確に“the foxes Tyree and Ellis”という表現を使っている。

このことから、本曲における“foxes”はトランペット奏者たちを指す呼称として使われていたことが分かる。

つまり、

狐という動物が3匹登場する曲

ではなく、

3人の優れたジャズ奏者を「foxes」と表現した曲

である。

なぜ演奏者を「fox」と呼ぶのか

英語の“fox”は動物の狐を意味するだけでなく、人間に対する比喩的・俗語的表現として使われることがある。

文脈によって、

抜け目のない人物
魅力的な人物
頭の切れる人物

などを表すことがある。

「Three More Foxes」の場合、資料上では演奏者たちそのものを“foxes”と呼んでいるため、敏捷で巧みなプレイヤーたちを表すジャズ的な愛称・比喩として理解するのが自然である。

ただし、Willie Maiden本人が、

「狐は賢いからトランペット奏者をfoxesと名付けた」

など、動物としての狐の性質と曲名を直接結び付けて説明した資料は確認できなかった。

そのため、

「狐の狡猾さをジャズ奏者に重ねた」

とまで断定するのは避けるべきである。

確認できる事実は、

「この曲で“foxes”と呼ばれているのはトランペット奏者たちである」

という点である。

「Three Little Foxes」との関係

Maynard Fergusonのレパートリーには、「Three More Foxes」より先に「Three Little Foxes」という楽曲も存在する。

「Three Little Foxes」はトロンボーン奏者・作編曲家Slide Hamptonの作品で、1958年5月にMaynard Ferguson Orchestraによって録音されている。MusicBrainzでも『A Message From Newport』収録曲として確認できる。

NEAもSlide Hamptonの代表的なMaynard Ferguson時代の作品として、

「The Fugue」
「Three Little Foxes」
「Slide's Derangement」

などを挙げている。

一方、

「Three Little Foxes」=Slide Hampton作
「Three More Foxes」=Willie Maiden作

であり、作曲者は異なる。

題名の「More=さらに」という言葉から、「Three Little Foxes」を意識した続編的な命名である可能性は非常に高く感じられる。

実際、Maynard Fergusonの再発盤では両曲が同時に収録されることもあり、いずれも同時期のFerguson Orchestraを代表する楽曲として扱われている。

ただし、

「Willie MaidenがSlide Hamptonの『Three Little Foxes』への正式な続編として命名した」

と本人が明言した一次資料は今回確認できなかった。

したがって、「題名上は強い関連を思わせるが、正式な続編であるとは断定しない」とするのが安全である。

キツネとの関係

本曲における狐との関係は、かなり限定的である。

「Three More Foxes」というタイトルには明確に“Foxes=狐たち”という単語が含まれている。

しかし、実際の楽曲には、

実在する狐
狐の鳴き声
狐の生態
狐狩り
妖狐
九尾の狐
狐神
白狐
狐面
狐火

などは登場しない。

そもそも歌詞のないジャズ・インストゥルメンタルである。

本曲の“foxes”は動物ではなく、3人のトランペット奏者を指している。

したがって、「ふぉくすなっ♪」で分類するなら、

「人物をfoxと呼んだタイトルを持つ楽曲」

となる。

さらに細かく言えば、

「3人のジャズ・トランペット奏者を“foxes”と表現したインストゥルメンタル曲」

である。

動物としての狐との関係

動物としての狐との直接的な関係は確認できない。

タイトルに“Foxes”が含まれるからといって、

「3匹の狐が走り回る様子を音楽で表現した」
「狐の狩りをジャズで描いた」
「狐の素早さをトランペットで表現した」

といった説明を付けることはできない。

Willie MaidenやMaynard Ferguson本人による、そのような説明は確認できないからである。

むしろ現存する解説では、人間の奏者を“foxes”として扱っていることが確認できる。

したがって、狐との関係を強く見せるために動物的イメージを追加することは避ける必要がある。

妖狐・狐文化との関係

当然ながら、本曲には日本や東アジアの狐文化との関係もない。

妖狐
九尾の狐
玉藻前
妲己
白狐
稲荷信仰
狐面
狐火
狐の嫁入り

などとは無関係である。

タイトルに英語の“fox”が含まれるという理由だけで、これらの狐文化へ結び付けることはできない。

本曲における「狐」は、人間に対する英語表現としてのみ関係している。

作曲者Willie Maidenについて

Willie Maidenはアメリカのジャズ・テナーサックス奏者、作曲家、編曲家である。

Maynard Ferguson Orchestraでは演奏者としてだけでなく、作曲・編曲でも重要な役割を果たした。

「Three More Foxes」のほか、

「Jazz Bary」
「Back in the Satellite Again」
「Tinsel」

などの作品もFergusonのレパートリーとして確認できる。

「Three More Foxes」では作曲者自身もFerguson Orchestraの一員として活動しており、ビッグバンドの各奏者の能力を生かした楽曲設計が行われている。

Maynard Fergusonについて

Maynard Fergusonはカナダ出身のジャズ・トランペット奏者、バンドリーダーである。

非常に高い音域を演奏するハイノート・トランペットで特に知られ、Stan Kenton Orchestraなどを経て自身のビッグバンドを率いた。

「Three More Foxes」が生まれた1950年代末から1960年代初頭は、Fergusonのビッグバンドが多くの優れたジャズ奏者を擁していた時期である。

「Three More Foxes」も、Ferguson本人だけの超絶技巧を聴かせるための曲ではなく、複数のトランペット奏者へソロを与えることで、バンドメンバー全体の実力を前面に出す作品となっている。

AllMusicも1960年版について、Fergusonを含む3人のトランペット奏者が順番にソロを取る曲として評価している。

狐関連楽曲としての位置付け

「Three More Foxes」は、「ふぉくすなっ♪」に掲載するうえでは、狐との関係を弱めに設定するべき作品である。

題名には明確に「Foxes」が存在する。

しかし、その狐は動物ではない。

1959年のBirdland版では、

Jerry Tyree
Don Ellis
Maynard Ferguson

という3人のトランペット奏者による競演として演奏され、解説でも彼らが“foxes”として扱われている。

したがって分類は、

「タイトルに狐語彙を使用した楽曲」

の中でも、

「人物・演奏者を“fox”と表現した楽曲」

とするのが最も正確である。

実在の狐を描いた曲ではなく、狐の文化・伝承を題材とした曲でもない。

また、なぜ“fox”という言葉が選ばれたのかについてWillie Maiden本人による詳細な説明は確認できないため、「狐の賢さや素早さをトランペット奏者になぞらえた」といった解釈も断定できない。

一方で、タイトルだけが偶然「Foxes」なのではなく、実際の演奏解説でも奏者を“foxes”と呼んでいる点は重要である。

そのため本曲は、

「狐そのものの楽曲」ではないが、
「foxという語を人間の奏者への呼称として明確に使用したジャズ楽曲」

として、狐という言葉が人間の評価・愛称へ派生した例の一つとして扱うことができる。

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