もうひとつのきたきつねものがたり きつねとひとのたようなかんけい もうひとつのキタキツネ物語 ― キツネとヒトの多様な関係
動物行動学者の塚田英晴による野生動物学の専門書である。2022年に東京大学出版会から刊行された。 映画『キタキツネ物語』によって広まったイメージとは異なる、「野生動物としてのキタキツネ」の実像を、動物行動学・保全生物学・獣医学などの視点から総合的に解説している。キツネと人との共存について考えるための、最新の知見をまとめた一冊である。
あらすじ・内容
本書は、1980年代の映画『キタキツネ物語』が描いた感動的な世界から約40年を経て、現代の研究成果をもとにキタキツネの生態を改めて見つめ直した書籍である。
外見や行動、生息環境、繁殖、生態だけでなく、北海道での分布の変化や人間活動との関わり、エキノコックス対策、都市に進出する「アーバンフォックス」の問題など、多角的なテーマが取り上げられている。また、「ワンヘルス(One Health)」の考え方を通して、人・動物・環境を一体として捉える重要性についても紹介している。
主な内容
- キタキツネの分類と生物学
- 行動・繁殖・食性などの生態
- 北海道における分布の変遷
- エキノコックス症と感染対策
- 都市で暮らすキツネ(アーバンフォックス)
- 餌付けと観光問題
- 交通事故や害獣問題
- ワンヘルスの考え方
専門的な内容でありながら、豊富な事例を交えながら解説されているため、研究者だけでなく一般の読者にも読みやすい構成となっている。
本書の魅力
本書最大の魅力は、「かわいいキツネ」というイメージだけではなく、野生動物としてのキタキツネを科学的に理解できる点である。
著者は長年キツネを研究してきた動物行動学者であり、最新の研究成果をもとに、生態や保全、人との関係について分かりやすく解説している。また、餌付けや観光利用など、人間側の行動がキツネに与える影響についても具体的に論じられており、共存のあり方を考えるきっかけとなる。